滑舌悪すぎ!ビートたけしのジャイアント馬場感

今月から始まった、NHKの大河ドラマ「いだてん」を見ていて、強烈に感じた事があります。それは、ナレーションのビートたけしさんの滑舌が悪すぎるという事です。集中して聞いていても、ちょっと、正確に聞き取れたのか自信が持てないような、そんなレベルで、見ているのがツラいようにも感じたほどです。

いだてん NHK公式HP

私と同じような感想を持った方やはりいたようで、twitterには、次のような投稿も、それなりにありました。

しかし、やはり、ビートたけしさんが、あまりにビッグネームなためか、あまりメディアで、たけしさんの滑舌の悪さが議論される事はありません。むしろ、滑舌の悪さを肯定するような意見がまとめられた記事を、発見する事ができました。

「完全にたけしなんだけど…」 いだてんの「志ん生」、予想以上の好評のワケ

さて、私にとって、たけしさんは、もの凄く影響を受けた人物で、憧れの存在です。小さい頃から、たけしさんの番組は必ずチェックしていましたし、過去の番組の映像もDVDやネットで、今もなお、よく見ています。

その影響の度合いは非常に大きく、私はテレビが大好きになり、大した活躍はしていませんが、放送作家の端くれとして働いています。また、東京出身という事もあるのでしょうが、話している時に、今でも、周りから「今、ビートたけしっぽかった!」と言われる事が時々あります。

こうやって、勝手にたけしイズムを継承してしまった人間としては思うのです。若い頃のたけしさんが、現在の芸能界に現れて、今のたけしさんを見て、どんな発言をするのでしょうか?どう考えても、あの悪い滑舌をレジェンドだからと、肯定的に捉えるとは思えません。絶対に、毒舌でこき下ろして、ネタにする気がします。

このように、私は、たけしさんの全てを肯定する信者ではなく、たけしさんの考え方・物の見方を継承していると勝手に思っています。だからこそ、現在の、たけしさんについて、正直な感想を書いてみる事にしました。

単刀直入に言うと、もはや、今のたけしさんは、晩年のジャイアント馬場さんのような感じになってしまったように思います。30代の私にとっては、子供の頃、プロレスを好きな人が存在する理由が全く分からないと感じていました。その理由は、馬場さんの全盛期を知らない私にとっては、晩年の馬場さんの試合が、スピード感の無い老人がやっている、よく分からない見世物としか思えなかったからです。

同年代の少年たちは、私と同じような感想を持っていたのでしょう。かつて、プロレスには国民的人気がありました。しかし、私の世代では、プロレスは人気がなく、テレビ朝日の深夜番組で、かろうじて見る事が出来るというマイナーな興業に成り下がっていました。

その頃、馬場さんの現役時代を知っている世代も、劣化した馬場さんを白い目で見ている人もいたようです。しかし、「馬場さんは、いてくれるだけで良い」と、晩年の馬場さんを肯定する人も多く、馬場さんからファンが消える事がありませんでした。

そうやって、馬場さんがプロレスに大きなダメージを与えた後、プロレスが再び国民的人気を得る事はありませんでした。現在の状況を見ても、好きな人は好きという興業であり続けています。

ここで、本題に戻ります。たけしさんにも、今、同じ事が起きているように思うのです。たけしさんも、長い間、スーパースターであり続けました。どんな、トラブルがあろうが、ファンが離れる事なく、日本の芸能界のトップにずっと君臨し続けていました。

しかし、今、たけしさんは、晩年の馬場さんのように老いてしまいました。普通の芸能人だったら、とっくに、ファンが離れるような劣化です。

しかし、たけしさんのファンは離れません。何を言っているか分からないほど、滑舌が悪くなった、たけしさんの姿を見るだけで、「馬場さんは、いてくれるだけで良い」と、湧く人もまだまだ大勢いるのです。

恐らく、今、物心ついた少年・少女たちは、そんな現在の滑舌の悪いたけしさんの姿を、少年だった私が馬場さんを白い目で見ていたのと、同じような目で見ているのではないでしょうか。

つまり、馬場さんが、そうであったように、たけしさんは、テレビを最大限に盛り上げ、最大限に盛り下げる人物となるのではないかと、私は感じているのです。

私の予想どおりになるのか、ならないのか、今後も、NHKの「いだてん」を、1人のたけしファンとして見続けようと思います。そして、この件について、多くのたけしファンの、正直な意見を聞いてみたいと思いました。

※この記事の著者プロフィール
渡辺 龍太 (放送作家 アドリブトークの専門家)
Twitter  ブログ
1月24日発売 最新刊『ウケる人、スベる人の話し方』