そもそも裁判官は、証言の信用性をどう認めているのか

証人の証言の信用性を担保するような客観的証拠があることが望ましいが、証言を裏付けるような客観的証拠が提出されないでも、証言の内容や証人の属性、他の証拠との相応性など諸般の事情を総合勘案して、その証言の信用性が認められることがある。

写真AC、日産サイトより:編集部

虚偽の陳述をしているのではないか、と疑わせるような事情が判明した時は、裁判官は事実の認定に当たって相当慎重になるはずだから、利害関係のある証人の証言を裁判官が鵜呑みにするようなことは、まずない、と思っていただいていいだろうと思っている。

しかし、それでも、裁判官は警察官や検察官等公的立場にある証人の証言を安易に信じてしまうところがあるから、裁判官の心証形成がいつも正しい、とは言えない。

確定死刑囚について再審裁判で冤罪だと判明した冤罪事件がいくつかあるのは、大体はそういう事情からである。

昨年から日本でも司法取引と呼ばれる制度が始まっているが、欧米諸国の司法取引とは大分趣を異にしているので、ゴーン氏の刑事事件についてどの部分が司法取引の対象なのかは現時点では分からない。

まあ、司法取引と称しているが、単に日産側の積極的かつ全面的な捜査協力の姿を言っているのかも知れない。

私のブログの読者であるEU在住のおたまじゃくしさんから質問があったので、今の段階で私が理解している範囲で、取り急ぎ回答させていただく。

よろしく。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年1月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。