キャッチコピーの重要性はビジネスをしている人であれば誰もが知っている。「カッコいいキャッチコピーをつけたのに売れない」「エッジを立てたら、うさん臭さが残って逆効果になってしまった」など、失敗例も枚挙にいとまがない。はて、どうすべきか。
今回は、『届く! 刺さる! ! 売れる! ! ! キャッチコピーの極意』(アスカビジネス)を紹介したい。著者は、コピーライター、マーケティングコンサルタントの弓削徹さん。実は弓削さんは「ノートパソコン」の名付け親としても知られている。
弓削さんは仕事柄、いろいろな展示会に出かけることがあるそうだ。そこは、ダメなキャッチコピーであふれている。会場のブースを眺めながら歩くと、各社が「これがウチのウリ」と信じるポイントがズレていることが少なくない。そんなズレたキャッチコピーのパネルやのぼりでは訴求効果を期待できない。
「キャッチコピーとしてウリが掲げられています。しかし、それをどう読んでも、何度考えても、何がすごいのか、どこが他社と違うのかが、一切わからない。ほとんどが、そういうキャッチコピーなのです。では、多くの会社がおちいりがちなダメなキャッチコピーには、のか。それを見ていきましょう」(弓削さん)
「キャッチコピーには強い言葉がなければ、印象にも記憶にも残りません。残らないキャッチコピーは、なかったのと同じことです」(同)
例えば、次のような話し言葉のようなキャッチコピーがあるとしよう。これで、お客さまの気持ちをつかむことはできるのだろうか。また皆さまはどのような印象をもったか。
『多くの人がまた買いたいと言ってくれます』
フレンドリーさは訴求できるかも知れないが、キャッチコピーとしてはまったく響かない。では弓削さんに正解を聞いてみよう。
「『多くの人がまた買いたいと言ってくれます』。この一文を、強い言葉に置き換えていくとどうなるでしょうか。多くの人とはどれくらいの人なのかを、きちんと数値化してみましょう。計算をしたら82 %だったのなら、その数字を入れます」(弓削さん)
「また買いたいという人、また買ってくれる人を、キーワードに置き換えればリピーターです。最後は『?』で締めます。そうすると、改善例は次のようになります」
『82%がリピーターになってしまう秘密とは?』
「やや、キャッチコピーらしくなりましたね。本来は、これにもっと具体的なキーワードを入れ込みたいところです」(同)
本書は言葉選びの基礎から、プロのテクニックまで学べる。上手く書くのではなく「ウリ」を書く。お客様の“買いたいスイッチ”をONにしたい人におすすめしたい。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※新刊情報(筆者11冊目の書籍になります)
拙著『即効!成果が上がる文章の技術』(明日香出版社)