東京の不動産が「2極化」する理由

内藤 忍

今年に入ってから一棟もの不動産の価格下落が、地方だけではなく都心部にも広がってきました。

その一方で、都心中古ワンルームは相変わらず供給が少なく、価格は高止まりしています。家賃水準も堅調で、一棟ものとは対照的な動きです。

なぜ、同じ地域の同じ不動産なのに、このような差が付いて「2極化」していくのでしょうか?

不動産の価格は、長期的には需要と供給の関係によって決まってきます。しかし、短期的には中央銀行の金融政策や、金融機関の融資姿勢が大きく影響します。

日本国内では日銀による金融緩和政策が続き、金余りの状況が続いています。不動産投資に関しては、大半の投資家は金融機関からの融資を利用します。地方銀行を中心とした銀行が、昨年から一棟もの不動産に対する融資姿勢を厳しくしてきています。

融資基準が厳しくなると、不動産を購入できる人の数が減っていきます。需給関係から、一棟ものの価格が下がっていくことになるのです。

一方、同じ不動産であっても、区分ワンルームの販売が好調で、価格も上昇傾向です。これは、区分ワンルームに融資をしているオリックス銀行、クレディセゾン、イオン銀行、ソニー銀行といった金融機関が、引き続き積極的に融資需要に対応しているからです。

今後の区分ワンルーム価格がどうなるかは、短期的には需給よりも、むしろこれらの金融機関の融資姿勢が影響します。

そうやって不動産マーケットを見ていくと、例えば、2020年の東京オリンピック前後に不動産価格が下落するという話が、あまり根拠がないことがわかります。金融機関の融資姿勢が変わらなければ、東京オリンピックがどうなろうと不動産マーケットには、大きな影響はありません。

いずれにしても、今は好調な区分ワンルームマンションも、金融機関が融資に消極的になれば、価格が下落してしまう可能性はゼロではありません。

しかし、ここで考えるべきことは、毎月の家賃収入というインカムゲインを狙う投資家にとって大切なのは、価格変動ではなく、安定した家賃だということです。一時的に不動産価格が下落したとしても、家賃が継続して入り、金利差からの収益が確保でき、将来再び価格が戻れば問題ないからです。

というわけで、私は来月もまた都心中古ワンルームを購入する予定で準備を進めています。

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「評論家」ではなく、実際にやっている「投資家」から正しい情報を収集して、悔いの無い投資判断をしてください。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年1月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。