2月1日から、東京と神奈川の中学受験がスタートする。
毎年書いていることだが、受験に臨む段階で、既に中学受験の目的は達している。
「合格することが目的だ」
と考えるのが一般的かもしれない。
しかし、「合否は時の運」だ。
合格可能性が常に80%以上だった受験生が不合格になり、20%の受験生が合格することは、決して珍しいことではない。
中学受験に限らず、大学受験や司法試験などの資格試験も同様だ。
「時の運」に左右される結果を目的とするのであれば、中学受験はあまりにもリスクが大きい。
私の考える中学受験の目的は、(個人差はあるだろうが)約3年間、広範囲な課題を集中的に勉強することにある。
その間に蓄積された学力もさることながら、「集中力」「持続力」「回復力」など様々な能力が身に付いている。
これからの人生で、このような時期を過ごすことはあまりないだろう。
大学数が増加したせいで大学入試は平易になったし、超難関国家試験もなくなった。
この経験を与えられた受験生たちは、(拙著「中学受験BIBLE」の付属CDの最後に述べたように)本当に幸せだ。
家庭の財政事情や地域的な事情等で、中学受験ができなかった小学生の方が圧倒的に多いのだから。
「合否は時の運」なので、保護者の方々は笑顔で送り出してやって欲しい。
たとえ結果が嬉しいものでなくとも、今まで頑張ったことを褒めてあげて欲しい。
子供よりも苦労したであろう保護者の方々も、誇りをもって自分たちを褒めよう。
出だしの入試等でつまずいて困ったときは、迷うことなく子供を塾の先生のところに行かせよう。
塾の先生たちは、子供たちを立て直すための驚くような技術を持っている。
「塾から帰ってきたら、子供が前向きに変わっていて驚いた」という話を、私は何度も聞いてきた。
中学受験の入試問題はとても工夫されている。
「こんな生徒に入ってきて欲しい」という工夫が随所に出ている。
だから、最終的に「その子が入学することになった学校が、その子にとって一番いい学校」になる。
主観的にはともかく、試験という客観的な基準では「相思相愛関係」になっているのだから。
保護者にとって不本意な学校に行くことになっても、決して不満を子供に向けてはいけない。
「こんな学校に行くなんて…情けない」という精神的虐待を受けた子供が、その後家庭内暴力を振るうようになったという話は、あまりにも有名だ。
まだまだたくさん書きたいことがあるが、後は私のHimalayaの音声配信で補って欲しい。
親子で本試験を楽しんできて貰えば、私にとって望外の幸せだ。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2019年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。