第一子を育てるママへのサポートと情報提供の重要性 --- 松本 翔

※編集部より:自民党渋谷総支部の若手5名が自身の子育ての経験なども踏まえて、より現実的、理想的な子育て支援策について論じた投稿をいただきました。5人の方の寄稿を順次掲載します。

(過去記事一覧)第1回「妊婦さんへの支援の拡充を — 長島 洋平

なお、アゴラでは現在、統一地方選立候補予定者向けのブログ講座(2月20日)の受付中ですが、編集部では、党派を問わず、統一地方選に向けて立候補予定者の皆さまのご投稿を歓迎します。


子育てについて、イメージしていたものと実際に体験した現実は大きく違いました。『男は仕事、女は家事・育児』という姿は過去のもの。核家族化が進み、祖父母世代のサポートが難しくなるなか、夫婦が協力して取り組まなければいけないテーマです。私は1歳2か月の長男を現在進行形で保育園に預けながら育てている立場ですので、実体験に基づき、自身が感じた課題と行ってほしい対策を整理したいと思います。

※子どもを保育園に預けていない家庭や2歳以降のケース、2人目出産のサポート等の課題については、別の方の整理を待ちたいと思います。

まず、産後のママに対するサポートは第一に考えるべきテーマです。第一子の出産の場合、心身ともにぼろぼろ(『交通事故に遭うレベル』という表現もあります)で、ろくに寝ることもできない状態で初めての育児に突入します。『分からない』『聞きたい』ことが大量発生し、スマホでの検索に頼るなか、経験豊富な方のアドバイスはやはり頼りになるものです。

自身が外出するのは難しいため、保健指導員等の専門家が自宅に来てくれるサービス、あるいは1ヶ月健診等の定期健診時に相談時間をしっかり確保してもらう等の対応が望まれます。なお、親世代の意見も参考になるのですが、母娘の関係性から素直に従えない場合もあれば、『かつての常識は今では非常識』という場合もありえます。

また、パパの育休は何よりのサポートだと思います。パパの育休や時短勤務等への理解は企業文化によるところも大きいですが、行政としては継続的に啓蒙活動を行うとともに、予算措置を取って助成金を支給することも選択肢になると思います。育児・介護休業法をはじめとした法的な整備は進んでも、実態として育児の当事者や企業の総務部門・管理職に浸透していない場合が多いものです。社会に文化として定着するまでは、繰り返し周知していくことが必要です。

産後を経て、次の課題は女性の職場復帰(再就職)に伴う保育園の入園問題、いわゆる『保活』です。

『保育園の定員拡大』は分かりやすい課題でありますが、親の立場からすれば『保育園に入ればそれでOK』という訳でありません。『保育の質』が重要であり、衛生環境が十分か、子どもが遊べる園庭があるのか、給食やミルクのアレルギー対応が十分か等々、様々な角度から考慮し、納得できて初めて保育園に預けるものです。「贅沢な悩み」と思われるかもしれませんが、本当に大切な我が子を預ける以上、妥協できないところがあるのは事実です。

さて、そうした実態を踏まえると、まず情報の透明性が最初の課題になります。大事な子供を預ける保育園ですから、必ず見学した上で預けたいのが親心です。しかし現状、保育園毎の見学受け入れ状況や入りやすさ等については、保育園や区役所で『聞かなければ分からない』状況です。私も都度聞きながら自分で整理してきましたが、今後は行政で情報を整理し、ワンストップで情報発信されるべきです。

なお、保育園の入園は家庭状況(両親の勤務体系や祖父母世代の保育可否等)をポイント化した点数により決定されますが、申込み時に自分の家庭が何点かを把握することは意外に難しいもの。計算ツール(あるいはチャットボットなどのAIによる対応)があれば、行政と利用者の双方にメリットがあるように思います。

保育園入園後も、子どもの成長に合わせた切れ目ないサポートが必要です。育児の当事者であるパパ・ママは、目の前の事で精一杯であり、将来を見据えた対応が難しいのが実状だからです。

1つ例を挙げると、完全母乳で育てている家庭では、子どもが哺乳瓶でのミルクを嫌がってしまい、保育園へのスムーズな移行が難しくなります。入園の少なくとも1ヶ月前には哺乳瓶に慣れさせておかないと、保育園での栄養摂取が難しいために午前中保育となり、結果としてママの復職も難しくなるのです。そうした情報を、例えば入園決定のタイミングで丁寧にアドバイスしてもらえたら、入園時のトラブルは少なくなるでしょう。

また他にも、定期的な予防接種も忘れがちになります。産後数か月は予防接種の数も多く、必死になってスケジュールを立てますが、半年を過ぎて予防接種の頻度も少なくなり、保育園通いが始まると、目の前の仕事・育児・家事に手いっぱいに。計画的なスケジュール管理が難しくなり、『気付いたら予防接種の期限を過ぎていた』ということもあり、こうした情報を一気通貫して届けてほしいと思います。

最後になりますが、病児保育の対応は喫緊の課題です。親として子どものそばにいたい気持ちがあっても、どうしても仕事の都合がつかない場合もありえますし、また季節性インフルエンザの場合、解熱後数日間の登園不可時、子どもはいたって元気なものです。パパ・ママともに仕事と子育てを両立させるため、病児保育をハード、ソフトの両面から拡充すべきだと思います。

松本 翔 自民党渋谷総支部 青年部副部長
1985年生。渋谷区在住。家族は妻と子(1歳)。東京大学在学時、第81回箱根駅伝に関東学連選抜のメンバーとして出場し、「東大生が箱根駅伝を走る」と話題に。現在は市民ランナーとしてフルマラソンを中心に挑戦し、2時間13分38秒のベストタイムを持つ。東京マラソン2017では2時間17分のタイムで走り、夫婦の合計タイム(5時間20分49秒)がギネス記録に認定。著書「<東大式>マラソン最速メソッド「考える力」を磨いてサブ4・サブ3達成!」(SB新書)、「「走り」の偏差値を上げるマラソン上達ノート」(カンゼン) 。 公式サイト

※ この寄稿はあくまで執筆者の個人的見解・提言であり、自民党もしくは渋谷総支部の見解・政策ではありません。