明石市長の涙の記者会見に私は思うところがあります。「この市長さん、熱血漢だったのだろうなぁ」と。進まない道路拡幅のための用地買収に担当者を直接叱責するのは仕事が進まなくてよほど悔しかったのだろうと思います。
この市長さんの人生の履歴はゴージャスといってよいほど人がうらやむ道を送ってきました。ところが優秀な頭脳を持つ市長さんにとって部下が自分と同じレベルではないことにいら立ちを隠せなかったのでしょう。昔もいましたよね、これで議員を首になりました、という方。「おい、このぼんくら、どついたろうか!」。気持ちはわかるけど…、うーん、残念。
では今週のつぶやきです。
アメリカ人は働くことを美徳とし始めたのか?
アメリカの1月度の雇用統計。なんでこんなに良い成績をとり続けられるのかというほど雇用者数が伸びています。これで100カ月連続でプラス。
今回も事前想定を上回る30.4万人の増。ただ、今回思ったのは失業率が今回も雇用が伸びているのに4.0%と「悪化」しているのですが、その理由が労働参加率の改善にあるように見える点です。
アメリカの労働参加率は16歳以上の労働者の参加者数(年齢上限なし)でありますが、1960年代は60%程度だったものが女性の社会参加が急増、2000年には67.3%を付けます。ところがそこから下落開始し、2017年には62%程度まで落ち込んでしまいます。が、それを底に直近では63.2%と1年前に比べ1%ベーシス改善しているのです。
今世紀初頭、アメリカではアーリーリタイアメント(早期退職)が流行ったことがあります。いわゆる初期のブーマー族が50歳台半ばで「十分稼いだのでもう辞める」というわけです。その後、リーマンショックがあり、企業は解雇の嵐。そこでは仕事以外にも「人生の楽しみはある」という風潮が女性の間から生まれます。これが労働参加率が下がった理由だと分析しています。
今、確実に回復しているのはやっぱり社会に参加したい、働くことで生きがいを見出したいという姿勢が強まったからでしょう。アメリカ人は働かないと言われたのは昔の話と一部の層。働く人は日本人の比ではありません。この「生きがいを見いだせる仕事」、日本の労働市場にはあるのでしょうか?
メイ首相はなぜ首にならないのか?
英国のEU離脱のドタバタ劇を見ていて最近、私までいら立ちを感じさせることがあります。国を二分するようなこの瀬戸際になっても与野党の議員はいまだに自己主張を続け、折れることなく、いがみ合っています。そして、それでもメイ氏を首相の座に座らせるこの英国人たちのメンタリティはどこにあるのか、読みにくいというより「いい加減にしたらどうかね」といいたくなります。
メイ首相は勝者なのか、敗者なのか、私から見れば「見せしめのさらし首」だと思います。強行離脱派からも離脱反対派からも「自分が仕切る」という勇気を見せる人は誰もいません。首相はババをつかまされ、押し付けられ、解決の糸口もないままEUと再交渉の旅に出なくてはいけません。
議会は3月29日の離脱予定日から延長するという選択肢を消去しました。日程的に国民投票を再度行う選択肢も内閣改造も総選挙も全部ありません。残る可能性はメイ首相がEUと再交渉で折り合いをつけて議会の同意をとるか、合意なき離脱のどちらかだけです。この焦点は北アイルランドとの国境問題。そしてこれは従来から最も議論が白熱したところです。「国境に壁を」はトランプ大統領のセリフですが、実は英国のこの問題も全く同じだという視点に立った報道はあまりないようです。
10歳の少女を救う算段はなかったのか?
この事件は数ある殺人事件でも特に痛ましいと感じます。また、こういう最悪の結果になった社会的背景を考えねばいけないでしょう。
まず、父親はなぜ、娘を虐めなくてはいけなかったのでしょうか?父は沖縄から2017年に千葉に引っ越してきていますが、その時点ですでに虐待は行われていたことが分かっています。つまり、かなり長期にわたって継続的に行われていたわけですが、父親の職業は一般的に見て特段ストレスが溜まるようには思えないのですが、それでも何か自分の不機嫌を娘にぶつけていた可能性はあるでしょう。そして学校とのやり取りからそれは確信犯である点において性格異常であります。
次に教育委員会。父親に子供のSOSを見せてしまったのは泥棒に金庫のかぎを教えてあげるようなものです。訴えるぞ、と脅されたから「はい分かりました」では教育委員会の組織は機能していなかったと断じてよいと思います。
最後、学校。教職員の過労が問題になっています。それゆえに現場の最前線にいる先生方がこういう問題の芽の対処が出来なかったという仕組みは極めて深刻かと思います。ずらっと並んでみんなで頭を下げれば怖くない、という記者会見も頂けませんでした。これは本当に社会の歪といってよいと思います。
後記
人気グループ「嵐」が活動休止を発表しましたが、ふと頭をよぎったのはピンクレディとキャンディーズ。ともに人気絶頂期に解散しました。同じジャニーズでもSMAPの時の大騒ぎは全く違うのは「メンバーの強い意思と結束力」でしょうか?そういえばキャンディーズの解散は突然のものだったとされ、事前に察知した関係者が現場に駆けつけたら「時遅し」だったそうで。ファンの方はいろいろ思うところがあるでしょうけど、あと2年もサービスしてくれるなんて「神対応」だな、と思わせます。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月2日の記事より転載させていただきました。