米アマゾン・ドット・コムのCEOジェフ・ベゾス氏は7日、米タブロイド紙ナショナル・インクワイアラーとその発行元アメリカン・メディア(AMI)から、自身の裸写真などの掲載に関する脅迫を受けていたとして、ブログサイトでそのメールのやりとりを公開した。
AMIの背後にトランプ大統領の存在が取り沙汰されており、巨大ネット企業の創業経営者と現職大統領の前代未聞の情報戦になろうとしている。
I’ve written a post about developments with the National Enquirer and its parent company, AMI. You can find it here: https://t.co/G1ykJAPPwy
— Jeff Bezos (@JeffBezos) 2019年2月7日
ベゾス氏は先月9日にツイッターで離婚を発表。その翌日にナショナル・インクワイアラーがベゾス氏とニュースキャスターのローレン・サンチェス氏の不倫疑惑を報じ、私的なメールを掲載していた。
ベゾス氏公開書簡の要約
ベゾス氏が本日公開した「結構です、ペッカーさん(No thank you, Mr. Pecker)」の内容を訳して要約すると、以下のとおり。
- ナショナル・インクワイアラーは、脅迫によって私が申し出に応じる以外に道はない、と考えていたのだろう。つけあがってその内容をメールで送ってきたのだから。代わりに、私はそのメールを公開することに決めた。
- AMIのデビッド・ペッカー会長は、トランプ大統領に不利な情報を買い取ってもみ消す「キャッチ・アンド・キル」に関与していた。ペッカー氏と彼の会社は、サウジ政府のためにも多くの活動を行なってきており、連邦捜査官やメディアの調査の対象となっていた。
- ペッカー氏がAMIとナショナル・インクワイアラーを政治的な動機で利用してきたのは明らか。だがAMIはそれを否定し続けてきた。
- 数週間前にナショナル・インクワイアラーが私の私的なメール文を掲載するまで、私は以上のことがよくわかっていなかった。どうしてメールが流出したのか、私はギャビン・デ・ベッカー氏らに調査を依頼した。
- 私がワシントンポスト紙のオーナーであることで、一部の権力者が私を敵とみなすことは避けられないかもしれない。トランプ大統領のツイートの数々をみる限り、彼はその1人だ。
- ワシントンポストはカショギ氏殺害事件も厳しく追及してきた。特定のグループは不快に感じていただろう。
- 数日前、私たちはAMIの首脳陣の1人から、ペッカー氏が私たちの調査に「激怒」していると告げられた。その数日後、最初は口頭で申し出を受けた。彼らは私のメール文と写真をさらに持っており、調査をやめなければ公開すると言ってきた。
- 私の弁護士は彼らに写真を公開する権利はないと伝えたが、彼らは写真やメールがCEOとしての私の判断を反映しており、ニュース価値があり公共の利益になるもので、株主たちに見せる必要があると主張してきた。
- 2019年2月5日、AMIの最高コンテンツ責任者から受信したメール。タイトルは「ジェフ・ベゾス&ローレン・サンチェス氏の写真」。内容は、ベゾス氏らの自撮りの裸写真9枚を入手したことの通知と、それぞれの写真の説明。
- 私の立場でこのような脅迫に立ち向かうことができなければ、何人の人ができるだろうか。同様の経験をしてきた多数の人々が私たちの調査チームに連絡してきた。
- 仮にいま応じても、写真は手元に保管され続け、彼らにとって気にくわないことが将来起こればまた公開すると脅してくるだろう。
- 私的な写真を掲載されたくはないが、政治的な攻撃や脅迫に屈したくもない
- 2019年2月6日、AMIの法務副顧問から受信したメール。内容は7項目の条件提示について。「AMIの報道は政治的な動機に基づいて行われている」と言った主張には根拠がないと認めそうした可能性への言及をやめれば、AMIはメールや写真を公開しない、などの条件を含む。
ネットも朝から反応
本件は日本でも日経新聞などが報道し、ネットでも早速朝から話題になっている。
「ナショナル・エンクワイアラー」は、こんな新聞。 pic.twitter.com/7qBskV7K01
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) 2019年2月7日
ベゾスにはティーンエージャーの子供が3人います。おとうさんの「ちん○ん写真が流失!」とかタブロイド紙に書かれたら、もう学校へもいけないでしょうね。今頃、家庭は大荒れのはず。 https://t.co/zj59nQsEES
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) 2019年2月7日
ベゾスが最初にツイッターで離婚を発表したとき、とても周到な声明を用意したので、離婚手続きは整然と行われるような印象を投資家に与えました。でも今日の報道をみると「どろどろ」ですね。
— 広瀬隆雄 (@hirosetakao) 2019年2月7日
さすがにジェフ・ベゾス。ここまでくると単なるスキャンダルというより、どっかの諜報機関に刺されたんじゃないの感ある。Amazonが鉄壁すぎるから経営者を狙っとけ的な。
— 深津 貴之 / THE GUILD (@fladdict) 2019年2月8日
アメリカもクソ記者のいるメディアがあるんだなあ。
ベゾス氏「タブロイド紙から脅迫」、私的写真巡り (The Wall Street Journal) – https://t.co/n8LiZt4Twk— 堀江貴文(Takafumi Horie) (@takapon_jp) 2019年2月8日
ベゾス氏とトランプ大統領の全面対決に発展か
またアゴラの池田も含め、本件へのトランプ大統領関与の可能性と今後の展開に注目すべきとの意見も多く見られた。
トランプ大統領では?という観測もあります。しかし、この記事内のトランプの皮肉で煽るツイートには、トランプ大統領らしからぬ、センスのある嫌味ですなあwhttps://t.co/Lu5oOAaIYX https://t.co/mmQ9u6c4OH
— 田端信太郎 @田端大学塾長である! (@tabbata) 2019年2月8日
Amazonのジェフさんの卑猥なSNSでの不倫会話(一説によるとおち○ちん写真も流出)がタブロイド紙に出るというので、トランプ大統領が哀悼の意を表明。Amazonが買収したワシントンポストより、そのタブロイド紙ははるかに正確な報道機関であるとも…。 #今日の英会話 https://t.co/KKr7Jn9g1B
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2019年2月8日
(※編集部注:トランプ氏のツイートは、実際には先月タブロイド紙がベゾス氏の私的メールを掲載したときのもの)
ちなみに、大統領選挙中に、10年前のトランプさんの番組収録前の会話を隠し撮りしたテープを報道して、女性蔑視として大キャンペーンを打ったのがワシントンポストです(笑)> 暴露されたトランプ米大統領候補の女性蔑視発言の全訳 https://t.co/YqZiwnddei
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2019年2月8日
それにしても、なんという胸熱の展開。すごすぎる伏線回収やwww https://t.co/gwb59rWmGZ
— Kazuki Fujisawa (@kazu_fujisawa) 2019年2月8日
今回の脅迫状の原因になったメッセージは盗聴によるものと思われ、その報道の直後にベゾスを罵倒したトランプ大統領との関連が疑われる。 The Sexts of Jeff Bezos and the Death of Privacy https://t.co/akACxKN6VX
— 池田信夫 (@ikedanob) 2019年2月8日
ベゾスを脅迫したAMIのペッカーは、トランプの不倫問題を口止めした容疑で捜査を受けている。ベゾスがねらわれたのは、この問題を追及しているワシントンポストの取材を止めるためで、不倫相手の情報を提供したのは、その兄(トランプ支持者)だとポストが報じた。これは司法取引違反の疑いがある。
— 池田信夫 (@ikedanob) 2019年2月8日
今日のアメリカはこの話で持ちきり。浮気写真でアマゾンのベゾス離婚の原因を作った「ナショナル・エンクワイアラー(NE)」紙が「写真はまだある」とベゾスを脅迫している事が暴露された。背景に、トランプ攻撃を続けるワシントンポスト所有者ベゾスへの報復とそれに対する反撃。 https://t.co/blnjCNibDn
— 北丸雄二 (@quitamarco) 2019年2月8日