本当に危険なのは自称カリスマの悪徳不動産コンサル!

尾藤 克之

レオパレス21(Wikipediaより)

レオパレス21がアツい。筆者の自宅も営業リストに登録されているのだろうか。いまだに営業マンが飛び込みで訪問してくる。頼みもしないのに提案書を持参する営業マンもいる。

まず、レオパレス21に限らず、同業界の営業マンが提示する、お決まりの3点セットが存在する。

お約束の3点セットに要注意

1.節税対策(相続税)などに有利であること。
現金を残してもそれに課税されてしまうが、アパート経営は有効であるというもの。

2.安定的収入が見込めること。
アパート経営は毎月安定した家賃収入が見込めること。景気変動にも強く安定している。

3.空いている時間にできる不労収入である。
時間に拘束されないため始めやすい。家賃収入からローンを返済するのでリスクがない。

さらに、将来的に建物を売却したり、新たに建て直すなど様々な選択肢があるなどのメリットを提示する。提案書だけを見れば全くノーリスクに見えてしまう。実は数年前、ある案件でレオパレス21の営業マンと対峙したことがある。

最近、話題になった地銀のS銀行から多額の融資を受けて建設する計画。ワンルームを数部屋つくり部屋に空きが出たら即赤字になるシミュレーション。アパート経営をしたことがあればわかるが、退去後のメンテナンスには相応の費用が必要とされる。永続的に入居率が100%ということも考えられない。

また、木造にも関わらず坪単価が100万円近かった。一般的に、木造なら50~60万円程度、軽量鉄骨なら70~80万円程度、鉄筋コンクリートで100万円弱が相場である。

当時から、「終了プロジェクト」の噂が絶えなかった。「終了プロジェクト」とは、契約から10年を超したら解約を前提とした協議に移行させること。家賃収入の減額や解約をチラつかせる強引な手法である。

これは、2017年末に放送された『ガイアの夜明け』(テレビ東京)によって実態が明らかにされた。筆者が解約の交渉をすすめていた矢先に、『ガイアの夜明け』が報道された。その影響は大きく、うまく解約の話をとりつけることができた。いま、レオパレス21は大変な状況だが、この業界には自称カリスマの悪徳不動産コンサルが多い。

悪徳不動産コンサルに要注意

不動産のカリスマと呼ばれる人たちがいる。本を何冊も出しカリスマと言われている。しかし彼らのなかには悪質な人が多い。健全な商売をしている人には迷惑な話ではないか。最初に「不動産投資家募集」をうたい登録させる。登録時点でかなりの費用がかかる。

「新築のアパートを建てたい人を応援します。私が土地を見つけてくるので、その土地を購入して、紹介した業者を使いアパートを建設します。あとは、うまく利回りができるように運営するだけです。超簡単ですよね?」。こんな具合だ。

最後は、高利の負債だけが残る。年収500~600万円程度のゾーンが狙われる。どうにかして不動産を所有したいとう欲求に付け入るのである。コンサルを崇拝しているから言われるがままになる可能性が高い。

確実に儲かる物件があった場合、それが一般に出回ることは理論的に考えられない。第三者が美味しい情報に有りつけるほど甘くはない。本当にオイシイ物件があるなら、筆者なら他人には紹介せずに自分で購入する。だから、目利きの能力を鍛えなければいけない。

尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員

<筆者12冊目の書籍、4月18日発売>
波風立てない仕事のルール』(きずな出版)