ホノルル便が50万円になる日本人の余暇の過ごし方

岡本 裕明

今年のゴールデンウィークは特別なこともあり、10連休を海外で過ごしたいと思う方も多いでしょう。しかし、それははかない夢となるかもしれません。「格安航空券サイト『ena(イーナ)』を運営するエアプラス(東京・港)によると、2月上旬時点で東京(成田)―ホノルル便、同大阪(関西国際)便の往復価格は50万円程度(燃油サーチャージ・諸税別)だ。担当者は『例年の2倍はする』と話す」と日経が報じています。

Wikipediaより:編集部

一応、私もエクスペディアでチェックしたのですが、これを書いている時点で日系の航空券はほぼ売り切れ、ハワイアン航空で47万円程度であと数枚、と出ました。しかし、これは航空券だけ。つまり、ホテルの金額も同様に高騰しますので一般の方にはもうどうしょうもない価格帯になっているということになりそうです。

国内についても北海道など人気エリアは予約できる部屋そのものがもう限られている上に宿泊代もかなり上がってきているようです。今後は駆け込み需要がありますから国内旅行も目の玉が飛び出る状態になるかもしれません。2か月半後に迫ったこのゴールデンウィークは旅行業に関しては書き入れ時、というよりウハウハ時になりそうです。

見方を変えれば極めて高いレベルの消費が見込まれ、外国人観光客は同時期を避ける、という展開でしょうか?多分ですが、一般的な方にはかなり背伸びをした出費となる可能性も高く、一部の人は旅行はもうあきらめなくてはいけないかもしれません。

日本人は消費をしない、と言いますが、この価格状況を見るとプレミアムを払ってでも兎に角どこかに行く余力があることを示しています。数カ月前の日経ビジネスに年収1000万円層の苦労話が特集で組まれていました。私の記憶では年収が上がれば上がっただけの付き合いをしなくてはならず、税金等も上がるため、決して楽な生活ではないという趣旨だったと思います。

この「収入が上がったら上がった分の生活」というのが肝で別に消費を増やすことを決めたのはその方のディシジョン。別に上げなくてもいいわけです。ではなぜ、収入増が生活レベルの上昇=消費の増大となるのかといえば「見栄」は大いに影響すると考えています。

例えば同じ会社で同期と話をすれば当然、比較の話になります。また、部下に「おい、君はこの連休、どうするのかね?」と聞けば部下が「〇〇に行きます!」と言われればその上司も「部下が皆どこかに行くならうちも行かねばならないな」と頭をかくわけです。

この「見栄」は男性より女性の方がより過激であり、女性が典型的に形成しやすいグルーピング(少人数の仲間)の中でA子とB子が旅行に行くならC子も旅行に行かざるを得ない独特のメンタルな縛りが生まれるのが日本人の特徴であります。

これが北米ですと私の知る限り、「他人は他人、自分は自分」という生活であります。

旅行価格の高騰は需給のアンバランスさからくるのは言うまでもありません。もともとホテルは週末と平日では3割から6-7割違うことはごく普通です。これは多くの勤労者は損をさせられているとも言えそうです。唯一の朗報は法改正で4月1日から有給休暇の強制取得が始まり、年5日は否が応でも取れるようになります。(10日以上ある有給休暇のうち、最低半分は取ってよ、という話です。)ただ、これで消費がばらつくか、と言えば多分、思ったほどの効果はないかもしれません。理由は子供の学校は休みではないからです。

日本の大型連休は本当にへとへとになります。全国のおとうさま、本当にご苦労様です。財布は軽くなるわ、家族に気は使わねばならないわ、混雑でぐったりになるわ、これじゃ、会社で仕事していた方がずっと楽だ、と嘆く方も多いのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月14日の記事より転載させていただきました。