雲行きが怪しくなった企業業績、どうしたら勝ち組になれるのか?

2月15日付のブログで「そろそろ出そろう日本企業の10-12月期決算の状況をザーッと見渡すと『減益』の文字が並びます。新聞は編集をするので最高益やサプライズのプラスが出ると大きく出て小動きの決算は小さめに出るのですが、編集のマジックを見抜きながら見るとやっぱり減益が多い気がします」と書かせて頂きました。

写真AC:編集部

19日付の日経一面トップは「上場企業3期ぶり減益へ 車・部品や電機失速 」であります。どうやら見立ては間違っていなかったようです。「3月期決算企業の純利益の合計は昨年11月時点では前期比1%強増と3期連続の最高益見通しだった。それが昨年末以降、潮目が変わった」と記事にあります。日本電産の永守会長の「尋常ではない変化」で決算を下方修正した際にもこの頃に急激に受注が減ったという趣旨のことを述べていました。中国での急激な調整が多くの輸出企業に影響を与えたのでしょうか。

下方修正が多いのが自動車とその部品関連で下方修正の全体額1兆7500億円の1/3を占めています。一方、上方修正企業が4000億円弱あり、差し引き、1兆3000億円の下振れと報じています。

日本企業の体質がかつての強いリーダーシップから強い者に巻かれる流れに代わってきている傾向が見て取れ、世の中の動きに振り回されやすい経営体質になっているとも言えます。

また、古いビジネスモデルを後生大事にしてきた企業にも試練があると言えます。例えば昨年あたりから不祥事が続いたのは地銀と不動産会社で、改ざん、サブリース、儲け第一主義の無理な経営というキーワードがありました。私に言わせれば「姑息」の一言です。

現在、レオパレス21が社会問題と化しつつありますが、流れとしては昨年のかぼちゃの馬車、スルガ銀行事件と同じ流れを汲んでいるとみています。つまり、小金を持っていて、もうちょっと儲けたい地主やサラリーマンの副収入という脇の甘さに付け入るビジネスです。

同様に最近は「投資詐欺」が急増しているというニュースもありますし、オレオレ詐欺の手口も巧妙化し、いまだに収束の気配がないのは金はある、あるいはもっと何かやりたいけれど何をしてよいかわからないという人に群がる悪魔の手ということでしょうか?

日本は本来であればもっと知恵を出して儲けることができる国であったはずです。何か新しいものを生み出し、需要を創造するという本来の経営の在り方がどこかに行ってしまったのでしょうか?

ローソン公式サイトより:編集部

そんな中、やはり日経が報じたのはローソンの「悪魔のおにぎり」の大躍進ぶりです。これはおにぎりの常識を変えんばかりになっており、需要を創造したな、と思わせてくれました。

それまではコンビニおにぎりと言えばセブンイレブンの「うまいコメ」を売りにしていました。ある意味、おにぎりは最もシンプルな日本人のソウルフードでありました。ですが、白いコメを白いまま食べるということに捉われずにコメに天つゆ、天かす、青のりを混ぜるという常識破りを顧客が受け入れ、ヒットを生み出したとも言えます。言い換えれば顧客はサムシングニューをずっと待っていたのかもしれません。

海外送金も最近話題に上がることが増えてきました。このシステムは意外と古いスイフトという仕組みを使っています。この為、海外送金によっては経由する銀行が3つ、4つぐらいになる場合もあり、数日かかるし、手数料は思った以上にかかるし、送金エラーもしばしば起きるのです。私も昨年、日本からのある送金が無くなってしまい、銀行に乗り込んで探したところ、全然違う人の口座に入っていたことが判明しました。

こんなシステムを一気に解決するような仕組みは出来つつあります。但し、当局が厳しくコントロールしようとするため、送金上限額が設けられスイフトシステムを葬り去るような仕組みが出来上がらないのです。

言い換えれば日本の創造性を抑えているのは役所の管理かもしれません。役所は問題がないよう厳しく管理するのですが、それが行き過ぎると新たなビジネスを生み出しにくくなる、とも言えます。最近の例ではエアビーアンドビーがそうでしょう。全く中途半端になってしまいました。ふるさと納税の仕組みも総務省の頭ごなしの規制ではなく、一般の人が寄付をするという道筋を日本にもようやく作るのだという別の視点から捉える必要があったと思います。

不祥事が続き、役所や企業がよりコンサバになり、ルールで縛り上げて身動きできなくなった、というのが私の思う日本のビジネスシーンです。どうしたら勝ち組になれるのでしょうか?方法はいくらでもあるはずです。ただ、日本全体がそれに立ち向かう機運を作ることの方が先だと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年2月19日の記事より転載させていただきました。