北海道胆振地方で昨年から相次いで大型地震が起きた原因について、鳩山由紀夫元首相が、震度6弱の揺れが起きた22日夜、ツイッターで「苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものではないか」などと持論を述べたことが、波紋を広げ続けている。
CCSは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略称。温暖化対策として、二酸化炭素(CO2)を地下1000メートルの地層に送りこむ技術だ。鳩山氏は地震発生前の2月2日、このCCSが昨年9月の胆振地震を含む日本各地の大地震の原因になった可能性を否定できないとして調査すべきだと持論を展開した。
CO2の地下貯留のCCSプロジェクトが苫小牧で行われている。大変に大きな圧力をかけてCO2を地下に埋めるのだ。しかし米陸軍の調査では、CCSの15キロ離れた辺りで地震が頻発したという。昨年の北海道の厚真地震は正に苫小牧の隣町で起きた。CCSによって起こされた人災との指摘は無視できないと思う。
— 鳩山由紀夫 (@hatoyamayukio) 2019年2月2日
CCSの実験は最初長岡で行われたが、中越地震、中越沖地震と続き長岡での実験は中止となった。その後、いわき市沖と苫小牧沖でCCSの実証実験が続けられたが、ご案内の通り東日本大地震と北海道地震が起きている。これらの巨大地震とCCS実験が無関係と言い切れるのか。少なくとも徹底検証が必要だ。
— 鳩山由紀夫 (@hatoyamayukio) 2019年2月2日
そして、今回の地震が起きる約3時間前の午後6時12分にもCCSと地震の因果関係を主張するツイートを投稿。
先日昨年の北海道厚真町地震が高圧でCO2を地下に貯蔵するCCSにより人工的に引き起こされたのではないかと書いた。実際、北大の研究者が5年前にその可能性があるとする論文を発表していた。日本では地震の影響を考慮するとCCSは非現実とも述べている。政府は決して認めないだろうがCCSは再考すべきだ。
— 鳩山由紀夫 (@hatoyamayukio) 2019年2月21日
さらに午後9時22分ごろに震度6弱の地震が発生した直後も再び投稿。「本来地震に殆ど見舞われなかった地域だけに、CCSによる人災と呼ばざるを得ない」などと地震の原因がCCSにあると断定的にツイートした。
先ほど北海道厚真町の地震は苫小牧での炭酸ガスの地中貯留実験CCSによるものではないかと書いたばかりの本日、再び厚真町を震源とする震度6の地震が起きてしまった。被災された方々にお見舞いを申し上げると同時に、本来地震に殆ど見舞われなかった地域だけに、CCSによる人災と呼ばざるを得ない。
— 鳩山由紀夫 (@hatoyamayukio) 2019年2月21日
この地震直後のツイートは特に波紋を広げ、アゴラ執筆陣の宇佐美典也氏は「これが元首相か、、、」と唖然。
これが日本の元首相か、、、 https://t.co/BJeJUGU2Ih
— 宇佐美典也 (@usaminoriya) 2019年2月21日
ネット民からも「いい加減なことを発信しないで」などと非難が殺到した一方で、
地質学の専門家でも無いのにいい加減な事を発信しないで下さい。総理大臣まで勤めた立場で国民を不安におとしめたり人として如何なものかと思います。
— かしん (@KMROhwWgTUiT0nb) 2019年2月21日
こんなのが首相だったなんて、悪夢じゃなくて現実なんだよね。せめて夢ならよかったのに。
— きなこ (@kina_con) 2019年2月22日
一部には鳩山氏を擁護する意見が見られた。
元鳩山首相の地震原因のコメントに対し、彼を非難中傷するつぶやきが多く発せられている。東京大学工学部計数工学科卒業後、スタンフォード大学の博士課程でオペレーションズ・リサーチ専攻でPh.D.所得した研究者でもあるので、彼の仮説にもう少し真剣に耳を傾けても良いのではないかと思いますが。
— 平川典俊 (@soudearunara) 2019年2月21日
そして、毎日新聞が翌22日夜、北海道警が地震のデマ情報を調査し、認定した16件の中に鳩山氏のツイートが含まれたと報道したことで騒ぎが再燃(北海道庁の認定資料はこちらの最終ページ)。さらに鳩山氏が道警に対し、「科学的データも調べないでデマと認定した」と抗議したことで、騒ぎが収まる気配を見せなくなりつつある。
道警は科学的データも調べないで厚真町地震と苫小牧のCCS実験は無関係でデマと認定した。国会論戦で中越地震・中越沖地震はCCSによって引き起こされた可能性があるとされ、長岡のCCSは中止となったのであろう。更に北大の研究者が地震誘発の可能性があると論文を書いている。道警は命を守ってほしい。
— 鳩山由紀夫 (@hatoyamayukio) 2019年2月22日
この「逆ギレ」とも言える鳩山氏の反応に、今度は高須院長が目を丸くしていた。
鳩山由紀夫先生が開き直りしておられる。😱☀️ビックリなう https://t.co/x8wAdj135N
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2019年2月22日
なお、一連の騒ぎに池田信夫は鳩山氏をバッサリ。
CCSは地中にCO2を封入するだけで、核実験のように爆破するわけじゃない。しかもこれは実験施設なので、エネルギーがまるで違う。これでも彼は理系なの? https://t.co/vRQsAx0Srs
— 池田信夫 (@ikedanob) 2019年2月22日
苫小牧のCCS施設を運営する日本CCS調査は昨年11月、「北海道胆振東部地震のCO2貯留層への影響等に関する検討報告書」を公表。検証結果をもとに
CO2の地中貯留と、約30km 離れた場所で発生した本地震との関係を示唆するデータは確認されていないとの共通認識が委員の間で得られた。
と報告している。