東京都議会議員の川松真一朗(墨田区選出・都議会自民党最年少)です。
2019年都議会幕開けは波乱含み
さて、東京都議会の2019年は大混乱の幕開けとなりました。報道も出ていますが、開会日20日の1週間前から都議会は空転。私達は議会対策調整(永田町でいうところの国対)作業により、連日朝の3時、4時帰宅。9時10時から再始動という1週間を過ごしたわけです。
そもそもは、今回の第1回定例会に出される2018年度の補正予算で計上された5423億円という巨額のお金。これは、築地跡地を市場会計から一般会計へ移動する有償所管換えと言う作業によって生じるものです。昨秋にオープンした豊洲市場は市場会計が借金をする事で建設されました。
更に分かりやすく言えば税金を原資とする一般会計からは独立した市場関係者らの使用料で構成される公営企業会計が借金をしている状態です。この会計は豊洲だけでなく、都内11箇所の市場全体を経営するものであります。したがって、借金の償還時期を迎えるとこのままでは会計が破綻つまり市場経営が破綻します。
5423億円の税金投入に説明責任は必要でないか
小池知事が移転延期・方針転換をする前は、築地市場は民間に売却し、その売却費用を借金に充てていくという計画でした。当然と言えば当然です。
では、今、どんな局面にあるかと言えば、もし仮に一般会計から5423億円を入れた場合に、この資金を回収するためにどんな計画がなされているのかが見えません。そこで、この補正予算組み込みを決定された小池知事に直接議会の場で、説明して頂きたいというのが自民党の主張です。市場会計を破綻させてはいけないから、なくなく有償所管換えという手法に頼ることは何も否定しません。出来る事なら、分かりづらい手間も取らずに民間売却を進めて頂きたいわけですが。
なぜ補正予算だったのか
ただ、同じ第1回定例会では2019年度の一般予算案を審議する予算特別委員会が設置されております。この予算特別委員会には都知事の出席があらかじめフィックスされ一問一答で質疑が行われています。ところが、今回の第1回定例会に知事側が上程したのは5423億円について補正予算ですから審議するのは財政委員会となり、通常ならば知事の出席はありません。この補正で組むアイデアを出したのは到底小池知事自身とは思えません。身近にいるどなたかの囁きがあったのではないでしょうか。
疑問なのは、18年度の補正に入れるほどスピードが必要だったのか?はっきり言って、もう少し腰を据えて、19年度の補正という形でも対応できる時間軸なだけに、何故にこんな急ぐのかなと思うのです。この有償所管換え実現は、もう築地市場用地は中央卸売市場としては未来が無いと宣言する決意表明という側面もあり、これまでの市場移転問題の流れから考えると矛盾や疑問が浮かんでくるのは自然です。
以上の事から、自民党や他の野党会派は当然ながら一問一答で質疑できる財政委員会への知事の出席を委員長に求めます。これが2月14日の事です。ここから議事がストップし、週が明けて18日は与党会派だけで強引に委員会運営を行おうとします。ここで、また一悶着。19日には都議会議長宛で野党の6会派が連名で「平成30年度最終補正予算案の審議に知事の出席を求める申し入れ」を行いました。この申し入れ後、私も尾崎議長と議長室でサシ話す機会を作れました。
事が動くのはこの日19日の夜中。財政委員長の大松氏も事態収拾に奔走され、ようやく財政委員会再開の目処が立ちそうになった時に与野党各会派間が慎重に埋めてきたパズルがまた崩れる事になります。それでも、公明党は知事与党として毅然とした態度で臨むという事になったんでしょう。
翌日のゴタゴタ後の東村幹事長の話を聞けば、公明党は怒りの意を表し議運は欠席するが淡々と都民ファーストには議会運営をしてメッセージを出されたにも関わらず、都民ファーストのメンバーまでもが理由なくドタキャン。10:30の議運理事会を欠席した事で、13時の都議会本会議は予定通り開けなくなりました。これが真実です。
自民党が邪魔をしたというのは穿った見方
一部で自民党が妨害したかのように話す与党側の方がいます。はっきり言って今回は与党サイドのオウンゴールです。知事が議会に出てこなくてもいいようにと防御線を張っていたのが、その防御線が厚過ぎて逆に崩壊してしまった感があります。尾崎議長が動き、小池知事は今週か来週の経済・港湾委員会に出席する事になりました。この選択も?です。というのは、有償所管換えですから、これから市場会計の財産から、一般財産に入れようという話です。にも関わらず、財産を動かす小池知事が財産を動かされる市場長と並んで答弁席に立つ意味が分からないのです。このあたりの経緯も情報公開を求めておきます。
今週は知事の説明が聞けるか
東京都議会は26日に代表質問、27、28日で一般質問が予定されています。これは一問一答ではありません。ここでの各会派との質疑応答を踏まえて経済・港湾委員会での一問一答に繋がるでしょう。
でも、私からすれば、一体、この1週間の空転は何だったのかなと思いますね。はっきり言って14日には決着している問題です。一部の都民ファースト議員が「議会運営を人質にとり、事態を紛糾させ、マスコミ報道の注目を集めようと動く「野党」会派。」と自身のブログに記しました。全く人質に取ってないし、自民党は巨額の予算だから小池知事には説明責任を果たして頂きたい。なぜ補正予算に入れたのか。「築地は守る」という知事の方針から変更があったのかを確認したいという基本姿勢を貫いただけです。
これに対して呼ばなくていい理由が明確でなくて、私達を説得出来なかったのは都民ファーストの会の方です。私もあまりにも不毛な時間の経過に苛立ちを覚えます。そして、別にマスコミ報道の注目を集めようとも思っていません。小池都政は賞味期限切れ気味でテレビ局なども関心が薄れています。あまりにも空転した為に、私は暇人になってしまったのでツイートをし続けただけです。
何れにしても第1回定例会は予算特別委委員会のメンバーにもなったし、また気合いを入れますか。
知事の委員会出席には前例がある
そういえば、知事を委員会に呼ぶ前例は無いと平気で言う方もいるようです。2017年6月には私が緊急動議をかけて文教委員会へ小池知事をお呼びしていますし、猪瀬直樹知事に5000万円疑惑が浮上した時は総務委員会に呼んで徹底して調査をしたのです。
今般、中山ひろゆき経済・港湾委員長には華麗なる委員会運営を求めておきます。委員長も離党覚悟で英断を下して頂きたい。一つ述べておきますが、ここで小池知事を守る方法は委員会の場でダイナミックな小池案を広く都民に述べさせる事しかない。そこで誰もが納得すればピタッと議論は終わる。
中途半端にやれば、先週の前哨戦のように忖度したつもりが小池ブランドに傷をつける事になるのですから。それが理解出来ない知事側近に何を言われようが委員長の公平・中立な姿勢こそが最大の都民益です。
正に自由で民主的で真の都民ファーストの議論を宜しくお願い致します。
参考までに
徹夜明けの朝に出演した「虎ノ門ニュース」の反響が大きいのでこちらもリンクを貼っておきます。
1:23:50あたりから都政問題です。
編集部より:このブログは東京都議会議員、川松真一朗氏(自民党、墨田区選出)の公式ブログ 2019年2月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、川松真一朗の「日に日に新たに!!」をご覧ください。