2月26日の記者会見で、東京新聞・望月衣塑子記者が「会見は何のためか」と質問したのに対し、菅義偉官房長官が「あなたに答える必要はない」と回答したことにより、記者クラブが多方面から集中砲火を浴びている。
東京新聞・望月衣塑子「官邸抗議文は東京新聞以外にも要請した事は」
菅義偉官房長官「この場は質問を受ける場、意見を申入れる場ではない。長官に意見を述べるのは当社の方針ではないと東京新聞から回答がある」
望月「この会見は一体何の為の場だと思ってる」
長官「貴方に答える必要はありません」 pic.twitter.com/13kYVYFYlX— Mi2 (@YES777777777) 2019年2月26日
今回の発端といわれるのは、昨年12月26日、辺野古埋立材などをめぐる両者のやり取りの2日後に官邸報道室長の上村秀紀氏が記者クラブ(内閣記者会)に出した文書。望月記者の質問のうち、「沖縄防衛局が実態把握できていない」「琉球セメントは県の調査を拒否」「埋め立ての現場では、これ、今、赤土が広がっております」などの部分が事実に反するか、適切な表現ではないとして、記者会見での質問のあり方に改めて申し入れをおこなったとされる。
これを受けて新聞労連は2月5日に「質問制限に抗議する」声明を発表し、東京新聞は20日に一連の問題を検証する記事を掲載、その紙面の表に対して菅氏が「両者の間のいくつかの重要なやり取りが掲載されていない」と反論するなどの応酬が続いていた。
26日のやり取りを全文書き起こしたITジャーナリスト・篠原修司氏によれば、望月記者は「前半で意見を伝え、後半で質問にしている」ため、「答えた場合、この意見を認めたうえで回答するかたち」になり、菅長官は「この場所は記者会見の質問を受ける場であり、意見を申し入れる場所ではありません」と応答したのではないかという。
だが、菅長官の発言を「言論の自由への弾圧」と捉える人々は反発。
これは記者クラブ所属の全記者が会見をボイコットしなければならない発言ですよ。これを許容することは、「あなたに答える必要はありません」と、いつか自分も言われることを許容することです。→東京新聞記者に菅官房長官「あなたに答える必要はない」:朝日新聞デジタル https://t.co/hkdN4YnhOx
— 想田和弘 (@KazuhiroSoda) 2019年2月26日
「官房長官の応答を黙認した」として、批判の矛先は官邸記者クラブに向けられた。
「あなたに答える必要はない」という官房長官の応答を官邸記者クラブの政治記者たちは黙認したのか。上司である新聞テレビの政治部長はその黙認を容認するのか。それなら国民の代表として記者会見に出る資格はない。黙認は加担だ。官邸記者クラブは解散した方が良い。https://t.co/tzHPGYJnev
— 鮫島浩 (@SamejimaH) 2019年2月26日
一方、望月記者と共著を出しているニューヨーク・タイムズ前東京支局長のマーティン・ファクラー氏は、ジャーナリストの主体性のためにも「日本の記者クラブ制度をやめるべき」と主張し、
日本の記者クラブ制度をやめるべきもう一つの理由は、ジャーナリストとしての主体性を取り戻すということ。今の記者クラブ制度は、役所などの権力者へ過剰な依存を作ってしまい、受身的なジャーナリズムを育ててしまうから。 https://t.co/yx2NoG2UIW
— Martin Fackler (@martfack) 2019年2月24日
フリーランス記者などは(26日以前から)、記者クラブの「排他性」や「法的根拠のなさ」、「記者は国民の代表論と記者クラブの利権のつながり」などを指摘。
そもそも一任意団体の記者クラブが会見を主催し、他の媒体、フリーランスを排除して密室でか会見を行うことにどこに法的根拠があるかね。
— 清谷防衛経済研究所 (@fiGXENVxeboZPBz) 2019年2月23日
まったくないです。庁舎内に「記者クラブ」なる無料のオフィスを勝手に設けて、公務員にお茶くみやコピーなど雑用をさせる。全部、原資は税金です。カネの面から言っても、記者クラブは違憲・違法です。 https://t.co/bUrNKxi0sY
— 寺澤有 (@Yu_TERASAWA) 2019年2月23日
清谷先生が戦われているけど、記者クラブからフリーを排除しようとしているのは、主として官公庁ではなく、テレビや新聞です。自分たちの報道の自由を守るために他者の報道の自由を奪っていることも皆さん知っておいてください。
— 菊池雅之 (@kimatype75) 2019年2月23日
記者は国民の代表論、官房長官に質問できるのは記者だからじゃなくて記者クラブの利権を持ってるマスコミ各社の社員だから、という本質がはからずもグロテスクに露呈してる感がある。利権でもってその席に着いたものが一切のセレクションなしに代表顔するから叩かれてるの、たぶん理解できてなさそう。
— H.M.S.BlackPrince (@HMS_BlackPrince) 2019年2月23日
アゴラの池田による「これを契機に記者クラブを見直すべき」などのコメントもリツイートされていた。
記者会見を主催するpress clubは海外にもあるが、記者が役所に通勤して家賃も電気代も払わない「記者クラブ」は、世界に類をみない奇習だ。望月騒動の原因も、そういう特権意識にある。これを契機に、記者クラブを見直すべきだ。
— 池田信夫 (@ikedanob) 2019年2月28日
記者クラブは家賃も払わないで役所に居候している親睦団体。彼らに自浄能力がないのなら、記者会見を仕切る資格はない。首相官邸が出席者を選べばいい。 https://t.co/sP0YxBphHQ
— 池田信夫 (@ikedanob) 2019年3月2日
津田大介氏らは官房長官による「記者への質問制限」の恐ろしさを訴えていたが、
官房長官は気に入った記者の質問にしか答えず、官房長官が伝えたいことだけ話してそれを垂れ流せばいいって、それ、お前らの大嫌いな中国や北朝鮮で起きてることだぞ。
— 津田大介 (@tsuda) 2019年2月26日
記者の活動に圧力をかける為に、でっち上げのフェイクニュースまで流す──。まったく恐ろしい話だが、南委員長は「記者の質問が妨害されたり、制限が加えられるような状態は今までになかったこと」だという。一体、安倍政権はどのようにして官邸記者会見を変えていったのか。https://t.co/JsFuQq3zd3
— ゆみ (@yumidesu_4649) 2019年3月1日
会員以外を閉め出して無視する記者クラブより、反応するだけ「菅長官の方が誠実」という声も聞かれた。
>「記者の質問が妨害されたり、制限が加えられるような状態は今までになかったこと」
おいおい、我々フリーランスやクラブ会員以外のメディアの記者の質問の妨害どころが記者クラブから会見から閉め出されて会見自体にでれないんですけど。ずいぶんと頓珍漢な。そら、長官に舐められますわな。
— 清谷防衛経済研究所 (@fiGXENVxeboZPBz) 2019年3月1日
防衛省記者会見交渉経過(38)
2019年2月27日
「あなたに答える必要はない」と菅義偉官房長官は反応するだけ誠実です。菅官房長官を追及している記者クラブの面々はフリーランスから記者会見参加に関する話し合いを申し入れられているにもかかわらず、「後日、回答する」と言ったきりです。 pic.twitter.com/UmYdAmjE5J— 寺澤有 (@Yu_TERASAWA) 2019年2月27日
#望月衣塑子 氏が「まず」理解しなければならないことは、自ら&記者クラブがこれだけ騒いでも #菅官房長官 は出禁にせず「変わらず望月氏の質問を受け続けてる」点。あれだけ無意味な質問を続けていても!
大人ならこの状況理解しようよ。論外!— しーちゃん (@S_M_Z_1109) 2019年2月26日
なお、共産党の池内さおり前衆院議員が「全ての記者への攻撃!断じて許さない」と息巻いたものの…
全ての記者への攻撃!
断じて許さない。Do the Right thing
世界のあちこちでも良心が闘っている。全ての記者も、あなたも、そしてもちろん私も、歴史の正しい側に立とう。声上げた人々を孤立させない連帯を!菅官房長官「あなたに答える必要ない」東京新聞記者の質問にhttps://t.co/L0HkdZZEkd
— 池内さおり (@ikeuchi_saori) 2019年2月26日
志位委員長の会見で質問制約を課されてきた安積明子記者から、「断言しておくけど、共産党はこの件について官邸を一切批判できない」と返り討ちにあっていた。
それから断っておきますけど、共産党は院内の志位会見ではフリーランスに質問させないなど、ものすごい制約を課していますよ。
それこそ、取材権への攻撃じゃないですか。 https://t.co/94AXwTL06p
— 会館の美女★フリーランスのあづみです (@main_streamz) 2019年2月27日
断言しておくけど、共産党はこの件について官邸を一切批判できない。
院内における会見では、フリーランスの質問権自体を禁止している。
もっとも「共産党主催じゃない」と言い訳しているけど、それじゃ長官会見と同じ。しかも長官会見では質問権自体は制約なし。 https://t.co/uKs5owIYuF— 会館の美女★フリーランスのあづみです (@main_streamz) 2019年2月27日