今日は、『このことわざ、科学的に立証されているんです』(主婦と生活社)を紹介したい。著者は、堀田秀吾(明治大学教授、言語学博士)さん。20冊以上の著書実績があるベストセラー作家でもある。
「早起きは三文の徳」ということわざがある。昨今のビジネスシーンでは「早起き」であることが美徳とされている。確かに早起きのメリットは多い。早起きして体を動かすことはとてもいいことだし、朝からジョギングや体操を楽しむ人もいる。
知人のサーファーは早朝サーフィンを楽しんでいる。毎朝5時に起きて海に向かう。6時から2時間ほど波乗りを楽しんで9時には帰宅しそのまま仕事に向かう。なにしろ渋滞しないのが最高だと彼は力説する。早起きの効能とは何か?
(堀田さん)「ハーバード大学医学部のレイティによれば、アメリカ・イリノイ州にある高校で、ジョギングでも何でも生徒の好きなものでいいので、毎朝必ず運動をさせるようにしたところ、学力が上がって公立校で全米1位にまでなったそうです」
(同)「心拍数をある程度上げられる運動、つまり少しキツイと感じるような運動をすると、心臓から脳に、血液を通じて酸素がどんどん送り込まれるため、脳がベストな状態になるというわけです」
ところが、科学的には必ずしもそうとは言い切れないようである。なんと夜更かしタイプのほうが創造性や年収が高いという研究結果も存在する。
(堀田さん)「サクロ・クオーレ・カトリック大学のジャンピエトロと、キャヴァレラは、さまざまな年齢増の男女120人を対象にしたアンケート調査で、就寝·起床時間、元気に感じるのは夜か朝かを尋ねたうえで、創造的思考を試すテストを行いました。その結果、夜型の人ほど発想力、柔軟性、独創性などにおいて高いスコアを残しました」
ウェストミンスター大学の研究を紹介したい。アンジェラ・クロー博士は数週間にわたって42人のボランティアの調査をおこなった。1日に朝起きた直後の1回を含む8回、唾液サンプルを検出した。そこから、早起きする人は頭痛に苦しむ傾向が強いことが示された。
このように、各国で必ずしも「早起きが三文の徳」につながるとは限らないという結果が明かになっているのである。
(堀田さん)「早起きしないと、良識ある社会人にはなれないなんて考える必要はありません。できる人間は、朝型であろうと夜型であろうと、自分のペースを崩さず時間配分や行動ができるということでしょう。無理のない程度に早起きをしつつ、夜も適度に楽しむ。それこそが健全かつ魅力的な24時間の使い方と言えるのではないでしょうか」
結論は、「朝型であろうと夜型であろうと、自分に合うペースを見つけることが大事」であること。体に負担がかかる早起きはまったく意味がないということになる。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
<新刊情報。4月18日発売>
『波風立てない仕事のルール』(きずな出版)
[本書の評価]★★★★(85点)
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