で、これから34機すべてエンジンを改修するのに装備庁は、9年はかかるといっていたわけです。
それも順調に予算がついてです。
しかも、OH-1の偵察と通信システムが完全な時代遅れでデータもリアルタイムで送れない。
こんな骨董品を大カネかけて、改修する必要があるのでしょうか。そして全機が戦力化される10年後を待つ必要があるのでしょうか。
しかも汎用ヘリベースじゃないので軽輸送にも使えません。
軽輸送に使っているOH-6は旧式化が激しく、数がかなり減っています。これらがになっている輸送をUH-Xが担うのは不効率でしょう。
完全に「時間」と「カネ」という概念が欠けています。
しかもあろうことか、未だに陸幕にはOH-1ベースに攻撃ヘリを作ろうという一派がいます。
まるで大戦末期で本土決戦を主張する将校団みたいなものです。
汎用の軽ヘリに武装・偵察キットを搭載したヘリを輸入で採用すべきです。
これまた問題案件です。12億だった値段は18億円超え。それも次年度からは20億円を超えるでしょう。
412EPIより安くなるわけがない。初年度だけ値段を抑えてごまかそうというところでしょう。
すでに何度もご案内ですが、防衛省は大臣通達で装備調達高騰を避けるために、調達価格が125%、150%を超えた場合に調達を見直すとしています。ところがUH-Xの調達が見直された形跡はみられません。
ましてUH-Xはコスト管理のための開発から廃棄まで、単一のプロジェクトチームが担当することとなった案件です。
更に申せば次期大綱、中期防でも調達改革を謳っています。
「自衛隊の装備品の質及び量を必要かつ十分に確保するためには、高性能の装備品を可能な限り安価に取得する必要があり、予算の計上のみならず執行に際しても、徹底したコスト管理・抑制を行う必要がある。
このため、長期契約を含め、装備品の効率的な調達に資する計画的な取得方法の活用や維持整備の効率化を推進する」
どうもこいつは空念仏で終わりそうです。
次期中期防の装備取得単価でもUH-Xは18億円と記されています。
つまり、防衛省、自衛隊ともに非効率な自衛隊専用ヘリメーカー、国内の警察や消防、海保ですらも顧客にできない3流弱小メーカーを数十年に渡って無駄飯を食わせてきて、この先もそれを続けるということなのでしょう。
装備調達改革は画餅で終わることになるでしょう。
日本のヘリメーカーは世界に打って出る気はありません。50ズラさげたニートよろしく、防衛省という親に死ぬまでタカる気でいます。彼らを税金で養って低性能で値段が高いヘリを調達して防衛費を浪費することは日本の防衛にとっても航空宇宙産業にとってもいいことはありません。そんな冗費があるならばもっと成長分野や成長企業に投資すべきです。
日本のヘリ産業は潰すことが国益です。
アブダビの軍事見本市IDEXのレポートは東京防衛航空宇宙時評で。
■本日の市ヶ谷の噂■
防衛問題でも積極的な発言をし、菅長内閣官房長官を質問攻めで困惑させている東京新聞の望月記者を公安情報組織、「千代田」が嗅ぎ回って前川前文科次官同様、謀略で陥れようと画策中との噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。