すでに周知のように陸自ではコマツが開発した装輪装甲車(改)を不採用として、仕切り直しをしています。現在ボクサーやストライカーの名前が上がっていますが、欧州の「あのメーカー」も名乗りを上げるようです。
それから、これもすでにご案内ですが高機動車と軽装甲機動車の後継を兼ねた車輌をこれまた開発、調達する予定です。三菱重工は困惑気味のようですが、自動車メーカーは乗り気らしいです。ですが、おそらくは米軍のハンビーの後継であるJLTV( Joint Light Tactical Vehicle)と同じようなおもちゃがほしいというだけの話ではありますまいか。
自分たちの装備体系や運用構想があるとは思えません。
ぶっちゃけた話、普通科の後継に8輪装甲車いるの?てな、話でしょう普通科の主力APCは96式ではなく、軽装甲機動車機動車です。であれば装輪装甲車(改)は軽装甲機動車と96式の後継であるべきです。
その96式は不整地走行を考えずに、路上移動しか考えていない治安装甲車もどきでしかない。
新大綱でも大規模着上陸作戦は考えておらず、そうであれば重装甲の8輪装甲車を主力APCにする必要があるのか?
という疑問もあります。であれば既に導入しているブッシュマスターのような大型4輪装甲車でもいいのではないか?
高機動車の後継はソフトスキンにしたほうが、コストが低い
あるいは国産の新型4x4あるいは6x4トラックを開発して、その装甲型を主力APCとする、という手もあるでしょう。その場合コストを低減することが最低上限となります。
また89式戦闘車の後継も必要です。何の改良も延命もされずにもう30年も使っています。本来数も足りないので、近代化するのも中途半ばです。8輪装甲車導入であればむしろ、こちらの後継として必要でしょう。あるいは装軌式を選ぶのであれば74式や90式を重歩兵装甲車に改造して使うということも考えられるでしょう。
通常の普通科APCにしても、機甲部隊随伴用のICV、あるいはAPCにしてもRWS装備は必要不可欠です。っこれはゲリコマ対処、ドローン対処にも必要だからです。またバトル・マネジメント・システム、ナビゲーションシステムなども統合して導入する必要があります。更には狙撃探知装置も同様です。つまりどんがらだけではなく、システムにカネがかかる。であればドンガラをできるだけ安くする必要があります。
その他の80年代に調達された装甲車両も多数が後継を必要としています。
そうであれば96式、軽装甲機動車、高機動車など個別の車輌の後継ではなく、総合的に装甲車両、車輌の調達のグランドデザインを考えるべきです。
そのためには広く外国の例を見聞し、防衛省や陸自内の社内政治だけをみて開発や調達をすることがないようにしないといけません。つまり現在の装備庁、陸幕の現状肯定・自画自賛体質では無理ということです。
コマツが事実上装甲車撤退しても目が覚めないようです。
■本日の市ヶ谷噂■
陸自の次8輪装甲車商戦に欧州の「あのメーカー」が名乗りを上げるとの噂。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2019年3月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。