不動産投資は、正しく行えば安心・安全な人生を手に入れられる。一方で、お客様を食いものにするような悪徳業者も多い。
今回は、『元営業部長だから知っている 不動産投資 騙しの手口』(秀和システム)を紹介したい。著者は、前田浩司さん。大手のマンションデベロッパーに勤務し、取締役営業部長まで勤めた著者が教える、不動産業界の裏事情である。
お金があれば自分が買いたい物件?
(前田さん)「『お金があれば自分が買いたい物件です』。この言葉はある意味、真実です。しかし、ウソも混じっています。不動産投資の営業マンは、基本給が安く設定されていて、インセンティブが毎月の給与にプラスされる仕組みになっているのがほとんど。そのため、実際にいい不動産物件があっても購入できないケースが多いのです」
(同)「また、『お金があっても買いたい物件ではない』ということもあります。ベテラン営業マンは、すでに複数の物件を所有していて、ローンの与信枠を使い切ってしまっているため購入できないということもあります」
要するに、「購買意欲をそそるための営業トーク」として考えたほうが良さそうである。さらに、本当にお値打ちな物件は市場に出回る前に売れていると前田さんは指摘する。
(前田さん)「それに、そもそも本当に良い物件であれば、表に出る前に営業マンよりも先に業者が買ってしまう場合が多いのです。資金力がある業者がすべて買ってしまう。営業マンによっては、本当においしい物件を見つけて何度もトライしたものの、途中で業者に買われて悔しい思いをした人もいることでしょう。本当に良い物件であればあるほど市場には出にくい仕組みになっているのが現実です」
悪徳不動産コンサルに要注意
不動産のカリスマと呼ばれる人たちがいる。本を何冊も出しカリスマと言われている。しかし彼らのなかには悪質な人が多い。彼らは、最初に「不動産投資家募集」をうたい登録させる。登録時点でかなりの費用を搾取されるので引けなくなる。
「みなさーん!私は、新築のアパートを建てたい人を応援しています。私が土地を見つけてくるので、その土地を購入して、私が紹介した業者を使ってアパートを建設していきます。あとは、うまく利回りができるように運営するだけです。メチャクチャ簡単ですよね?これでアナタも憧れのオーナーです!」
最後は、高利の負債だけが残る。年収500~600万円くらいの、平均よりちょい上ゾーンが狙われる。どうにかして不動産を所有したいとう欲求に付け入るのである。コンサルを崇拝しているから言われるがままになる可能性が高い。
確実に儲かる物件があった場合、それが一般に出回ることは理論的に考えられない。第三者が美味しい情報に有りつけるほど甘くはない。本当にオイシイ物件があるなら、筆者なら他人には紹介せずに自分で購入する。だから、目利きにならなければいけない。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
<新刊情報。4月18日発売>
『波風立てない仕事のルール』(きずな出版)
[本書の評価]★★★(73点)
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★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★ 「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★ 「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★ 「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満
星無し 「レベル0!読むに値しない本」50点未満