「第三者によるメールでの選挙運動の解禁」法学的論点の検討

若者政策推進議員連盟を開催しました。

今回は東京大学大学院法学政治学研究科の宍戸常寿さんをお招きし、「第三者によるメールでの選挙運動の解禁」に関する法学的論点を検討しました。

宍戸さんからは、

総論

・選挙運動の自由は表現の自由(憲法21条)の中でも特に重要なものであり、その制限は選挙の公正を確保するために実質的な合理性と必要性があるものに限定されるべき。

・Facebook、Twitterでの選挙運動が第三者に許されていることからすれば、メールでの選挙運動を規制する実質的な理由は乏しい。

・第三者が候補者、政党等からの選挙運動用メールの転送すらできないのは選挙の在り方として望ましくない。

写真AC:編集部

第三者によるメールでの選挙運動の在り方について

・ただし、社会的受容性の観点からは、第三者によるメールでの選挙運動については漸進的に解禁するのが望ましく、当面、オプトアウト規制(今後選挙運動メールを送らないで欲しい、と意思表示した人には送らないこと)は残した方がいいのではないか。

・なお、なりすましには虚偽表示罪の適用による対処が可能であり、第三者によるメールでの選挙運動を解禁したからと言ってなりすましが横行することはないと考えられる。

候補者や政党によるメールでの選挙運動規制について

・候補者や政党がメールで選挙運動を行うに際しては、オプトイン規制(予め選挙運動メールを送信することについて同意を得ること)、選挙運動用電子メールである旨を表示すること、送信者の氏名等を表示すること、オプトアウト規制などが課せられているが、オプトイン規制は緩和の余地があるものの、その他の規制は維持するのが適当ではないか。

誹謗中傷やフェイクニュースについて

・フェイクニュース等についてはSNS事業者による自主規制で対処可能ではないか。

などの意見をいただきました。

一方で、出席議員の多くからは、

第三者にメールでの選挙運動を解禁する際にはオプトイン、オプトアウト、表示規制などの細かい規制を課すべきではない。そうでなけば萎縮を招いたり違反行為を多数発生させることになる。

といった趣旨の意見が出ました。

大きな方向性は見えつつありますが、引き続き、いろいろな角度から詰めていきたいと思います。


編集部より:この記事は、衆議院議員、鈴木隼人氏(自由民主党、東京10区)のブログ 2019年3月5日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は鈴木氏のblogをご覧ください。