『全国的に話題沸騰』と言う話はよくありますけれども、全国ではほとんど知られてないけれども、一部地域で話題沸騰してる話題があります。
それは何かというと、国際リニアコライダー(ILC:International Linear Collider)というものです。どこで盛り上がっているかと言うと、岩手県をはじめとした東北地方です。
全国紙の新聞やニュースで見かけたことは私もないんです。全国的に取り上げられているとすれば、人気漫画の『会長 島耕作』ぐらいでしょうか。
さて、ILCとは何かなんですが、『文系の』間違えた『体育会系』の私には、十分な説明ができませんし、また時間が掛かりますので、詳細はHP(ILC PROJECT 国際リニアコライダー計画【高エネルギー加速器研究機構: KEK】 )をご覧ください。
こんな私でも、「これは重要だな」と思うには訳があります。それは、世界中の物理学者が集まる素粒子研究の実験施設を、岩手県に誘致するかどうかなんですね。
この施設ができれば、世界中から素粒子研究分野の科学者が集まる一大拠点になるからで、規模にして科学者が2000人以上、研究スタッフが6000人以上、そしてそのご家族も常駐することになるそうなんです。
4日後の3月11日には東日本大震災から8年を迎えます。大きな被害を被った東北各県にとって、これは一大プロジェクトといえる訳です。また科学技術立国を目指す日本にとっても大チャンスなんですね。
この素粒子研究というのは、日米欧各国が長年、それぞれで研究をしていましたが、これからは突き詰めた研究をしていく段階に入り、各国毎では費用も莫大に掛かり、共同で進めていこうとなったんだそうです。
実験に影響を受けない花崗岩で活断層もなく、安定した岩盤であり、50キロメートルと広大な北上山地がある岩手県に、世界の科学者から候補地としての合意が得られたそうです。今回の整備費用ですが、総工費8300億円、その半分に当たる約4000億円の費用を建設国である日本が支出し、共同で実験をする3ヶ国が残り半分の約4000億円を出す事で整備されるそうです。施設整備には約10年間掛かりますので、年間400億円の予算が10年間必要になります。東京オリンピック・パラリンピックの予算が2兆円と言われていますので、それに比べれば高くはない金額です。
『モノづくり大国日本』から『科学技術立国日本』へという国策は、安倍政権だけではなく、日本のコンセンサスであると私は思います。しかしながら、全ての科学技術について満遍なく推し進めていく事は難しいと思います。この素粒子物理学というのは日本はトップクラス水準を誇ります。
というのも、湯川秀樹、朝永振一郎、小柴昌俊、南部陽一郎、益川敏英、小林誠、梶田 隆章という、なんと7人のノーベル物理学賞受賞者を日本は排出しています。
先週、『これからの国力・技術発展のためにも意義がある【はやぶさ2着陸成功】』でもかきましたが、研究成果というのは必ず後の生活に役立ってきます。また世界中から科学者が集まるという点は何よりも化学技術立国として重要なことです。
ILCの研究には日米欧だけではなくロシア、中国も参加を表明していますが、仮に日本が今回の誘致を断った場合、施設整備を進めている中国に決まり、そこに各国が加わるという展開にもなりかねません。
本日の日本政府の表明が、『誘致する』ということでなくとも、『大いに関心がある』とすれで、これから費用負担などを各国と話し合い、展開していくべきだと思います。
さあ、どうなるのでしょうか。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。