今年10月から保育園・幼稚園の(幼児教育無償化)がスタートします。
なぜ10月か?と考えてみれば、消費税の増税のタイミングですね。
覚えていますか?
平成29年の衆議院解散総選挙のときに安倍総理は、『増税によって得られた増収分を全世代型社会保障に充てる』として、消費税増収分の使途変更を発表して解散総選挙に打って出ました。
これまでの社会保障は、高齢者福祉が中心だったのを、現役世代やそのまた子供たちへと福祉の財源を回すというのがその使途変更の大きな部分で、まさに今回の幼稚園や保育園の無償化は掲げてきた政策になっています。もちろん背景には少子化社会があり、子供を産みやすく、また子育てしやすくする意味でもあります。
今回の幼保無償化対象は、0~2歳児については住民税非課税世帯、そして3~5歳児については世帯年収に関わらず、全世帯が対象になります。
ただ、報道では『無償化』という言葉が目立つので、幼稚園・保育園のすべてが無償化に思えますが、『すべて』ではありません。認可保育園、公立保育園、公立幼稚園、認定こども園、これらは保育料を自治体が決めているので無償化になります。
一方で私立幼稚園の場合は、園がそれぞれ保育料を決めていますので、1人あたりの月額上限が2万5700円、これ以下ならば無償化になりますが、上限金額を超えた差額は自己負担となります。認可外の保育施設も3歳から5歳児の場合の上限は3万7000円、0歳から二歳児の場合は4万2000円の上限を上回った分については自己負担となります。しかしここは、これまでに比べても負担額が減ることを喜んでもらいたいと思います。
ただし上限額よりも安い保育施設では、この機会に便乗値上げをしようという動きもこれから出てきそうなんですね。税金が入る以上、便乗値上げでは許されないと思いますが、幼稚園教諭や保育士さん達の給与アップのためだとすれば、私はありだと思います。というのは、例えば保育園の場合、無償化になることで、保育園の入園希望者が増え、待機児童がまた増える可能性も考えられます。
今、保育園を増やそうとしても、実際は保育士不足で保育園を増やせないという問題もあります。資格は持っているけれども働いていない潜在保育士は76万人いると言われています。そう言う人達がもう1度働ける環境づくりや、今働いてる人達が出来るだけ長く勤められる、こういう良い循環になるようにして欲しいと思います。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。