知財計画2019への新ラウンド、スタート。

知財本部 検証評価企画委員会、新ラウンド開始。
共同座長を務めます。
2018計画の検証評価です。

(写真AC:編集部)

まずは政府側から説明。

○クールジャパン人材育成として、産業界と連携した「専門職大学」の設立に対応(文科省)。
iUも専門職大学ですが、そうか、クールジャパン人材の育成を担う位置づけだったか。

○コンテンツ・エコシステムの確立。
クラウドファンディングなど新資金調達策、ブロックチェーン活用のビジネス調査(経産省)、放送コンテンツ海外展開支援(総務省・外務省)、音楽の権利情報集約(文科省)など多彩な予算措置。

○海賊版対策。
リーチサイト対策やダウンロード違法化などの検討(ブロッキング法制化は記載されていない)(文科省)ほか、内閣府、警察庁、総務省、財務省、経産省等の対策。

○データ・AIなど新情報財戦略。
不正競争防止法やデータ利用権契約のガイドライン(経産省)、情報銀行・データ取引市場の指針(内閣官房)。
なお、情報信託の認定指針を経産省がとりまとめ。それに基づき、総務省が実証などを開始するとある。郵政・通産戦争当時には見られなかった連携です。

他には、
○著作権システムの構築
○ロケ撮影の環境改善
○デジタルアーカイブの構築推進
などの事項が並びます。
対策、盛りだくさん。

委員からの意見。

東レ日覚さん:著作権法改正を受けてのガイドラインが重要。
福井弁護士:裁定制度の事前供託金を不要にする対応の拡大を。
東大喜連川さん:データ財をクローズアップせよ。データ人材の育成も急務。
フジテレビ小川さん:ロケ環境整備は制度面のサポートを。
→いずれも御意。

複製権センター瀬尾さん:2020年、そして2025年のイベントを知財戦略に織り込むべき。
→これまで2020Tokyoをにらんで知財計画を立ててきましたが、2025Osakaという新たなターゲットができました。特にコンテンツ分野は両アウトバウンド+インバウンドの山をどう活かすか。明示的に取り組みたい。

講談社吉羽さん:海賊版対策は、出版・コンテンツ業界がまとまり、通信業界にも呼びかけて協議を進めることとなった。
→非常にありがたい報告です。これで政府での議論は一区切りついたと考えます。
ぼくもコメントしました。

「海賊版会議はブロッキングについて意見が折り合わず、とりまとめできなかった。ただ、その他10項目はほぼ合意をみたと認識しており、中でも官民連携での体制づくりが喫緊で、それができるかどうかが成否を分ける。出版・通信が前向きに取り組んでくださるのは、大きな一歩。ぜひ進めていただきたい。」

これら個別の対策よりも、大きな構えの意見が相次ぎました。日本のスタンスを問うものです。

林弁護士:米中対立の中で、日本の危機感が現れているのか。データ覇権にどう立ち向かうのか。スピードアップを。
キャノン長澤さん:米中対立は日本にとってチャンス。丁寧な知財戦略を。
日商久貝さん:知財に関し米中は国家のトップレベルが発信している。日本もそうすべき。
武蔵野大相澤さん:経常収支では知財の収入が増えている。外国・ASEANでの保護が大事。
動画協会石川さん:中国での成功事例が乏しい。よい関係を築けるよう国も対応を。

カドカワ川上さん:多国間での守りが重要。中国は侵害はしなくてもジャンルごと真似をする。クールジャパンのコンテンツもいずれ中国が強くなる。アニメ・ゲームへの規制も強まる。中国との共同制作など真剣に取り組むべき。
→委員たちの危機感をいかに国の戦略に織り込めるか。

米中対立、EUも強い姿勢を見せる中での日本のスタンスを問う。大きな戦略論となります。
まずは知財計画2019に向けての作業ですが、2020、2025に向けての時間軸を据えましょう。
スタートです。


編集部より:このブログは「中村伊知哉氏のブログ」2019年3月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はIchiya Nakamuraをご覧ください。