NHKネット常時同時配信問題:NHKもNHKだし、民放も民放だ

中田 宏

NHKが番組放送と同時にネットで常時同時配信をする方針を打ち出し、その方針について民放各社が反発しています。要するに、NHKの番組をネットでも見ることができるようにするという事です。

ここ最近、若い人のテレビ離れは深刻です。
ひと昔前は、「テレビばっかり見てないで!」と怒られたものですが、最近の若い人たちは本当に”テレビ”を見ていません。それは”テレビ”を見ていないだけで、ネットでドラマやスポーツを見ています。

先日はこんな話も聞きました。それは、「家のテレビにネット番組を映して鑑賞している人が増えている」という話です。こうしたことも踏まえ、NHKに限らず、民法各局がネットに進出する事は自然な流れに思えます。

民放各社は「NHKの肥大化」を懸念して反発をしています。すなわちNHKの受信料に発端があります。現在は「テレビを見ている人から受信料を徴収する」、正確には「テレビという受像機がある場所」から受信料を徴収していました。NHKは「テレビの受信料を支払っている世帯は、新たにネット視聴のための追加負担は求めない」と説明しています。将来的にはテレビを所持しない人たちの増加が予想されます。そうなった場合、テレビをを所持しない人たちが増えれば、NHKはネットで見ている人にも集金する。つまりネット端末で身近なスマホなどに受信料を課金をすることになりかねない。そもそも、NHKはテレビの保有に左右されなくなるので、NHKの受信料収益が増える事を民放は懸念しています。

一方で、民放の弱みは「視聴率」なのかもしれません。

現在、視聴率とは『世帯視聴率』が使われており、関東の場合1%あたり18万6000世帯(2017年10月)が見たと言うことになります。(今後、個人視聴率に移行される可能性はあります。)その反面、ネット番組はテレビと違い、「今視聴者数」や「再生回数」で、今までに以上に正確に測ることができます。

以前、テレビCMを出す某スポンサーから「テレビを見ている人は明らかに減っているにも関わらず、テレビのCM料は下がっていない。」と聞きました。それでもスポンサーをやる人がいるからテレビは成り立っているのも現実です。

日本の人口は減っており、1日が24時間という物差しもこれから先変わりません。
1日の時間が限られている中で、メディアが多様化していくとそれだけ商売が厳しくなるのは当然です。

2000年に入った頃は、堀江貴文氏を初めとしたネット業界がテレビに進出しようした時、テレビ業界は大反対をしました。今では民放はネットに進出し、ネットに進出しようとしているNHKに今度はは目くじらを立ています。

時代は激動していますね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。