クリミア併合から5年:ロシアにとっての領土問題は〇〇だ!

ロシアがクリミア半島を併合してから丸5年が経ちました。
とは言っても、「関心ない」「分からない」という日本人は多いと思います。しかし、欧米では大変大きく報道されているんです。

日本から地理的に遠いこともあり、報道も小さく、関心も薄いです。
元々ウクライナは、ソビエト連邦共和国(旧ソ連)が崩壊するまでは旧ソ連の構成国ではロシア次ぐ第2の規模でした。第二次世界大戦後の世界を二分した東西冷戦時代、共産主義・社会主義陣営の東側諸国を代表したソ連のウクライナには核兵器もあり、ソ連の軍事的拠点でもありました。

1989年12月2日から3日にかけて行われた両国の首脳会談(マルタ会談)によって冷戦は正式に集結。その後1991年12月25 日のゴルバチョフ ソ連大統領の辞任に伴い、 ソ連は崩壊。ソ連崩壊後はウクライナ・ベラルーシ、もちろんロシアも含んで15の国々に独立しました。もともと民族性の違いを軍事的に併合していたソ連ですが、独立したそれぞれの国々は、個々の国家体制を持ち、選挙も個々に行われてきました。

ウクライナでは、今から5年前の2014年2月に親欧米派の野党が暫定政権を樹立(マイダン革命)しました。今、親欧米派と書きましたが、要するに冷戦時代の西側(資本・自由主義を代表するアメリカをはじめとした西側諸国)に近い政権が誕生したということです。その直後、翌3月にロシアはウクライナ南部のクリミア半島を武力で併合し、ロシア側から橋を架け、更には軍事拠点化を進めてきました。

広いユーラシア大陸には、フランスやイタリア、スペインとロシアが地続きで国境が接していますから、昔から「襲った」「襲われた」と武力衝突が繰り返されてきました。

ロシアからすれば、自分たちに程近い国々が反ロシアになるのは嫌がり、一方で、旧ソ連から独立した国々は常にロシアの脅威がある為、西側諸国に近寄っていく構図が今もなお続いています。

こうした相互不信と力による抑えつけは、私たち日本人には理解が難しいですが、ユーラシア大陸の現状です。

更にもう一つ、プーチン大統領という強大な権力者が権力維持のために、外に向かって仕掛けているとも考えられます。事実、5年前にウクライナを併合したときは支持率が急激に上がり、80%台になりました。そして、今もウクライナを絶対手放さないというスタンスが国民から支持を引き留める要因になっているようです。

話は飛びますが、北方領土を日本に返還することに対してロシア国民の7〜8割が反対をしています。要するに、ロシア国民は、領土拡張に強いロシアを夢見ているんようです。

クリミア併合から5年、日本でも報じられてはいますが、先ほど述べたように、扱いは小さく、関心も低いです。逆に北方領土問題については、欧米人の関心は薄いです。そして、「領土拡張はするが、一度収めた領土は手放さない」これがロシアですから、北方領土問題の解決は困難なことがわかりますよね。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。