東京や群馬などに学校施設がある東京福祉大学の留学生700人が行方不明になっています。700人と聞くと「多い」と思いますが、正確には昨年入学した3179人の留学生のうち688人が行方不明で、留学生の2割程度です。
留学生といっても大学生ではなく、語学学校の生徒で1年間の語学勉強をした後に、大学学部に進学する道があるそうですが、これだけの留学生が行方不明で、どこで何やっているのかがわからない状態というのは、大問題ですね。
当然ながら、留学という滞在資格と異なりますので、不法滞在に当たるのも問題です。さらには、身元がしっかりしている人に比べて犯罪に結びついていく可能性が高いの事も、本当に大きな問題だと思います。
なんでこうなるのか。
それは率直に言って、大学側も留学生側も「金儲け」が背景にあると思います。
昨今は少子化で、日本人の大学入学者数が減っており、大学は経営を維持するために留学生を受け入れて、学費収入を得るという金儲け。
留学生側は留学を隠れ蓑にして来日するけど、目的は「留学」ではなく「働く」ことだったという意味で金儲けということです。中には、日本語もまともに勉強する気がない学生もいるし、最初は勉強が目的だったが、働いてるうちに次第に疲れ切って勉強しない、学校に行かない人も多く出てきているそうです。
はっきり言って、「潰れるべき」「廃校にすべき」という学校も生き残らせているから、こういう事態になると思います。大学にしても専門学校にしても、学ぶに値する学校であれば、当然日本人の志願者も多いはず。それは留学生にとっても同じです。
すなわち日本人にとっても外国人にとっても学ぶに値する教育機関ならば、入学定員以上の志願者があるけれども、その逆ならば定員割れになる。定員割れになったら、留学生を受け入れて経営を維持することに繋がるわけです。さらには留学を斡旋するブローカーが絡み、留学生は多額のお金を学費以外にも払うことになり、働いて返す負の連鎖も生まれます。
私が知っているしっかりとした教育内容がある専門学校に1度視察に行ったことがあります。留学生を受け入れる時は「学費の支払い能力」だけでなく、「親の職業」や「本人がどんなビジョンで何を学びたいのか」ということをSkypeなども使いながら面接をして、
親の職業や本人のビジョンをスカイプなどを使用して面接をし、その結果を踏まえ入学を許可する仕組みを実践しているので、結果として、行方不明者はほとんどいないそうです
10年ほど前から政府は、平成32年(2020年)に留学生を30万人にする計画を推進してきました。最新の数字では昨年(平成30年)5月で29万8980人おり、現段階では30万人の目標を超えていると思われます。
とはいっても、今回問題になっているような留学生も含んでの数字でしょうから、形だけ留学生が増え、こういう形で行方不明になり、ひいては犯罪や差別にもつながるようでは全く意味がありません。
政府はしっかり考えるべきではないでしょうか。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年3月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。