22日発表のドイツの3月の製造業PMI速報値が約6年半ぶりの水準に落ち込み、3月のユーロ圏の総合PMI速報値も予想を下回り、22日のドイツの10年債利回りは2016年10月以来となるマイナスとなった。
米国のPMIの製造業指数も1年9か月ぶりの水準に低下したことから、22日の米債は買い進まれ、一時2.41%に低下し、3か月物TBの利回りを約11年半ぶりに下回ったことで長短金利が逆転した。結局、米10年債利回りは2.44%と前日の2.53%から大きく低下した。
これは22日の欧米の市場動向を牛さん、熊さんが解説したものをまとめたものだが、今回は今回、市場が注目していた「PMI」という経済指標をあらためて解説してみたい。
PMI(Purchasing Managers’Index)とは、「購買担当者景気指数」とも呼ばれ、製造業やサービス業の購買担当者を調査対象にした、企業の景況感を示す景気指標のひとつ。購買担当者に、生産や新規受注、受注残、雇用、価格、購買数量などをアンケート調査し、結果に一定のウエートを掛けて指数化したもの。なかでも製造業の購買担当者は、製品の需要動向や取引先の動向などを見極めて仕入れを行うため、製造業PMIは今後の景気動向を占う「先行指標」とされている(大和証券のサイトより引用)。
米国のPMIは全米供給管理協会であるISM(Institute for Supply Management)が公表している米国の製造業の業況感を捉える景気指標である。これはそもそものPMI指数の元祖ともいうべきISM製造業景気指数とISM非製造業景気指数のことである。ISMは米国に4万人以上の会員を持つ非営利の供給管理組織であり、この指数は米国の18業種での数百社の代表者の調査に基づいて計算されている。
ISM製造業景気指数は、米供給管理協会が製造業約350社の購買担当役員にアンケート調査を実施し、1か月前と比較して、「良い」「同じ」「悪い」の三者択一の回答を元に、季節調整を加えた景気動向指数を作成している。1931年から続いている伝統的な経済指標でもある。
これに対し、金融情報サービス会社のマークイット(Markit)が集計している米国のPMIの製造業指数も存在しており、22日に発表された米国のPMIはこちらの指標であった。
そして、ユーロ圏製造業PMI(購買担当者指数) も、やはりマークイットが集計する景気指数となっていた。
そして、日本では日経日本製造業購買担当者指数(PMI)が発表されている。
中国では中国メディアの財新と英調査会社IHSマークイットが製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表している。
いずれのPMIも「50」を景況感の分岐点としており、これを下回れば景況感が悪く、これを上回れば景況感が良いとされている。
編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2019年3月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。