サイバーエージェントが運営する「AbemaTV」と、ドワンゴが運営する「niconico」(通称ニコ動)が27日、パートナーシップ締結を結んだことを明らかにした。プレスリリースによれば、4月1日から、「ニコニコ生放送」や「ニコニコチャンネル」で「AbemaTV」の番組配信を順次開始するという。日本の大手動画サービスを代表する両社のまさかのタッグにネットでは波紋が広がり、「想定の斜め45度に行ってクソワロタ」などと驚く声が上がった。
「すごく良い試み」「ずっとひそかに待ってました」など好意的に受け止める声もあったが、AbemaTVは3年連続で200億円の赤字を計上し、ニコ動も2016年12月から続く有料会員の減少に歯止めがかかっていない。今年2月にはニコ動創始者の川上量生氏が親会社カドカワの社長職とともにドワンゴの取締役を辞任する「惨状」になっており、
この流れの行きつく先がabemaに吸収されて消滅とかになるのか、一部として残り続けるのかはわからんがこれまでに投稿されてた動画はアーカイブとして残り続けると嬉しい
といった、ニコ動の先行きに悲観的な意見が見られたり、
200億赤字のAbemaと10億赤字のニコニコの最強タッグ
沈みゆく同士仲良く沈もうみたいな感じかな
などの皮肉る声も相次いだ。
ニコ動は、NTTドコモでiモードビジネスを成功させた夏野剛氏がドワンゴ社長に就任し、その立て直し策が注目されていたが、ニコ動の近年の衰退を加速させた一因に後発のAbemaTVの存在があったことはしばしば指摘されており、まさかの「抱き付き」作戦で早くも存在感を見せた格好だ。ユーザーからも夏野流に対しては
ニコニコそのものを改革して面白くすることよりも外から色んな物を引っ張ってくるというのが、夏野さんのお家芸だ
といった声があがっているようだ。
その夏野氏は今回の協業についてITmedia NEWSの取材に「日本のネット業界に足りないのは連携。AbemaTVとは補完関係が築けそうだ。より多角的に提携を進めたい」などと意気込んだ。一方、サイバーエージェントの藤田晋社長も同じく取材に「日本国内で競争している場合ではない」と述べ、YouTubeなど海外勢との戦いを意識する姿勢を強調した。
しかし、このあたりの「勝算」については、専門家では内閣官房情報化統括責任者補佐官の楠正憲氏が「ニコ動でAbemaTVを観る人がどれくらい出てくるのか興味深い」と注目。
元TBSで、電通総研フェローの氏家夏彦氏はツイッターやNewsPicksなどで「相性はいい」と評価。さらに
ニコ動はスタート当初から使っていたので、最近の有料会員減は心配していました。今回のAbema TVとの協業で一気に回復するとは思えないけど、ニコ動でのコンテンツとユーザーのエンゲージメントの強さは、他の動画サービスではあり得ないほどなので、可能性はまだまだありますし、打つ手もいくらでもあります。
と楽観的な見方を示した。
しかし、ネットユーザーの意見は辛らつなものも多い。同記事のYahooニュース配信記事のツイッターには早くも反応があり、
マイナス×マイナスでプラスになるか。。。。それともマイナス+マイナスでマイナスになるか。。。。
といった懐疑的なものや、
ニコニコのみならず、サイバーエージェントまで、業績が悪いのか。日本のIT企業、全滅だ。
との印象を語るものなど海外勢との力の差を危惧する声も目立った。果たして今後どのような展開になるのか、タッグの先行きが注目される。