選挙あるある④議会は数に物申す

こんにちは、都議会議員(町田市選出)のおくざわ高広です。

統一地方選前半戦が終わり、千葉県議選と埼玉県議選における無所属候補の躍進に注目しています。もちろん、政党や組織の支援・推薦を受けている方もいらっしゃると思いますが、投票所において無所属候補の名前の横に政党名はありません。

そんな無所属候補が、その政策や活動内容を充分に伝え、個人の名前を書いてもらうことがいかに難しいかを考えるにつけ、千葉県議選で8→21、埼玉県議選で11→18に議席を伸ばした無所属候補の活動には興味津々なわけです。

千葉県議選(我孫子市)では、無所属現職の水野ゆうきさんが、自民、立民を抑えてトップ当選。

この研究は追い追いやるとして、私自身も無所属議員として活動している身としては、どうしても無所属候補を応援したくなるのが人の心というもの。そのの中で言われるのが、

「無所属じゃ仕事できないでしょ」
「議会は数だから」

というわけで、今日は全力で否定させていただきます。 この候補いいなと思いつつ、でも無所属は心配だなぁと思う方はご一読下さい。無所属であることをマイナスに捉える必要はありません。

「議会は数だ」については、国政においては概ね正しいと言えるでしょう。いくつかの例外はありますが、第1党から首相が輩出されるため、数がなければ国政の舵取りができない議会制民主主義においては、数が全てと言っても過言ではないと思います。

一方で、地方議会は制度が異なり、首長と議員は別々に選ばれる二元代表制となります。首長(知事や区市町村長)が示した方向性(予算や施策)に対して、チェックするのが議員の仕事。

もちろん予算を通過させるために、行政が大会派に対して、より丁寧な対応をすることは否定しませんが、イコール「無所属(少数会派)では仕事ができない」ということには繋がりません。

無所属議員(少数会派)でも仕事はできる

理由①地方議員の第一の役割はチェック!

地方議員は住民の代弁者であり、行政施策と住民生活のズレを正していくのが役割です。社会がどんどん変化するのに対して、行政のスピードはとてつもなく遅い。だから、ほんの少しのズレが2〜3年後には大きな差となってしまいます。

住民の困りごとに敏感に気づき、事実に基づいて是正を求めれば、行政はちゃんと動いてくれます。もし、少数会派の正しい主張が放置される場所なのであれば、数年後にはとっても暮らしにくいまちになっているはずなので、早いとこ引っ越した方がいいかもしれません。

※実際、私は年明けから無所属の少数会派になりましたが、職員の皆様は全く変わりなくご対応いただいています

理由②少数会派の機動力が呼び水に!

無所属(少数会派)の良さは、しがらみが無い故の機動力と意思決定の速さにあります。問題を発見した10分後には担当部署に問い合わせることができるレベルです。私も大きな組織に所属していた頃は、問題意識を組織内で共有し、実際の政策に落とし込むまでは数週間〜数ヶ月の時を要しました。

また、政治の世界では期数主義が色濃く残っているため政策実現は二期目以降だ、なんて言われたこともあるくらいです。さらに言えば、党内の力関係によっては、二期目も三期目も陽の目を浴びず、いつのまにか初心を忘れてしまう議員さんも見てきました。

今はSNSなどで問題意識をいつでも、誰でも発信できる時代になりましたので、議員1人の発信が議会全体を動かす呼び水になることもあり得ます。東京都では、動物殺処分ゼロが達成されたと報道されましたが、はじめから取り上げていた議員はとても少ない課題だったと思いますが、今では当たり前になりました。私も後発組ですが、先人の取組に敬服するばかりです。無所属ならではの機動力、時代の先を行く、とがった主張は、議会にとって必要不可欠だと私は考えています。

理由③議員の力は議場の外で測るべし!

少数会派になるデメリットの1つに議場での質疑時間や所属できる委員会に制約があるということが挙げられます。たしかに、私は3人で活動しているので、所属できる委員会は3つしかなく、本会議での質疑も毎定例会で10分ほどしかありません。※自治体ごとにルールは異なります。

しかし、これまでは自分の担当する委員会の情報しか入らなかったのが、全て入るようになり、また質疑については文書質問という形でどの部署に対しても質疑可能です。第一定例会で初めて文書質問したのですが、扱いとしては知事答弁と同じになるとのことで、担当部署の職員さんとは大変充実した議論をさせていただいた次第です。

また、議場で取り上げる内容は実はごく僅かで、その何倍ものやり取りを職員さんとしています。議場に出る前に、チェック機能を果たすことも充分にできると考えています。

というわけで、無所属であっても、あなたが良いと思った候補に一票を投じて!と言いたいわけですが、私はいずれ政党政治は終わり、無所属議員の集合体が課題ごとに有機的に繋がりを変えながら政治をリードする時代が来ると思っています。もちろん、無所属なら誰でも良いわけではありませんが、大きな政党のなんとなくの安心感に包まれることが、ほんとに良い選択だと言えるのか、ということだけでもご理解いただけたらなと思う次第です。

いずれにせよ、来週から始まる統一地方選後半戦では、都内の各区市町村でも選挙があります。ぜひ投票所へ足をお運びください!

最後に、投票へ行こうという気持ちになるブログを2件紹介させていただきます。

NPOフローレンス 駒崎弘樹代表
選挙に行かない男と付き合ってはならない5つの理由

元東京都議会議員 音喜多駿氏
本気で「誰に入れたらいいかわからない!」という人のための、3分でわかる投票先の選び方


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年4月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。