安倍首相の側近として知られる自民党の萩生田幹事長代行が18日朝、DHCテレビ「虎ノ門ニュース」で
6月の数字を見てこの先は危ないとなったら、国民を崖に連れて行く訳にはならいないので違う展開はあると思う。やめるのは間に合う。増税をやめるなら信を問うことになる
などと述べ、統一地方選と衆院補選の終盤に差し掛かった永田町で大きな波紋を呼んでいる。
発言はただちに新聞やテレビでも報道。
安倍首相側近が早期解散論=増税見送りも言及、与野党に波紋(時事通信)
野党第一党・立憲民主党では、福山幹事長代行が「解散を堂々と受けて立つ」と強気の姿勢を見せたものの、
野党協力、言うだけでしょう。
などと早くもツッコミが。
一方、立憲民主党と野党共闘の主導権を争う国民民主党では、玉木代表が日銀短観などの展望をしながら、「政権はバラバラな野党の現状を見透かしている」と冷静に指摘。
日本維新の会は野党で唯一、萩生田発言を歓迎する独自のポジショニング。松井代表(大阪市長)は増税の凍結とともに、大阪の改革を全国に広げることで税収を補えると、ちゃっかりアピールしていた。
「観測気球」だったとしても、波紋が大きくなりつつあるのを見越し、菅官房長官は翌19日午前の記者会見で「リーマン・ショック級の出来事が起こらない限り、引き上げる予定だ」などと“火消し”に務めた。
アゴラの池田信夫は、萩生田発言について、『消費増税延期の判断基準は「日銀短観」ではない』という分析を投稿。
異常な状況がいつまでも続くはずがない、と多くの経済学者が思ったが、安倍首相は「ゼロ金利なんだから財政破綻を心配する必要はない」と考えて、日銀が国債をマネタイズする量的緩和を始めた。それはゼロ金利に賭けるギャンブルだったが、幸か不幸かインフレ目標2%は実現しないので、実現するまでこのギャンブルは続けることができる。問題はこの状況がいつまで続くかだ。
ゼロ金利が続く限り将来世代の負担は増えない。国債を借り換え続けても元利合計の負担は増えず、消費が増える分だけ成長して利益を得る。
などと、増税延期の背景に、ブランシャールなどの経済学者が長期停滞に関して画期的な新説を披露していることを踏まえ、独自の見解を示した。
政治ジャーナリストの安積明子氏は、永田町ですでに6月30日衆参ダブル選挙説が出ていることを紹介。
永田町に流れる6月30日の衆参ダブル選挙説(Yahoo!ニュース個人)
終盤を迎えた沖縄と大阪の衆院補選ではいずれも自民党の苦戦が伝えられているが、安倍首相は果たして大勝負に出るのか。平成のうちに、永田町で吹き始めたように見える解散風が本物なのか、ネットもリアルも息を飲んで見守っている。