有本香「自民党から増税反対の声は出ないのか?」
萩生田光一「何度となく声は上がってる。6月の数字を見てこの先は危ないとなったら、国民を崖に連れて行く訳にはならいないので違う展開はあると思う。やめるのは間に合う。増税をやめるなら信を問うことになる」安倍総理の決断に期待してます pic.twitter.com/K2YONbt2Pn
— DAPPI (@take_off_dress) 2019年4月18日
自民党の萩生田幹事長代行は、10月の消費増税について「6月の日銀短観の結果次第で延期もありうる」と発言した。これは7月1日に発表される日銀短観のことだと思われるが、こんな短期的な指標で増税を延期することはありえない。延期する理由として意味があるのは、ゼロ金利がいつまで続くのかという基準だ。
図のように長期金利は、ここ10年ほぼ一貫して下がっており、今年2月からはマイナスだ。もしこの状況が永遠に続くとすると、増税する必要はない。政府は国債発行で利益を得るので、国債を増発すると政府債務は減る。ゼロ金利だとしても成長率がプラスだったら税収が増えて政府債務が減るので、増税する必要はない。
こういう異常な状況がいつまでも続くはずがない、と多くの経済学者が思ったが、安倍首相は「ゼロ金利なんだから財政破綻を心配する必要はない」と考えて、日銀が国債をマネタイズする量的緩和を始めた。それはゼロ金利に賭けるギャンブルだったが、幸か不幸かインフレ目標2%は実現しないので、実現するまでこのギャンブルは続けることができる。
問題はこの状況がいつまで続くかだ。何かの外的ショックで一時的に金利(r)が急上昇するリスクもあるが、その場合も成長率(g)より高いかどうかが問題だ。長期的に平均してr<gの状況が続く限り、政府債務比率が発散しないことは自明だ。
自明でないのは財政赤字が将来世代の負担増になるかどうかだが、ゼロ金利が続く限り将来世代の負担は増えない。国債を借り換え続けても元利合計の負担は増えず、消費が増える分だけ成長して利益を得る。一般化するとブランシャールが証明したように、r<gである限り将来世代の負担は増えない。
だからゼロ金利(少なくともr<g)が長期にわたって続くなら、増税しないで国債を増発することが経済的に望ましいが、政府のシミュレーションのように長期金利が3.4%に上昇するなら財政赤字は危険なので、予定通り増税すべきだ。安倍首相が本当に増税延期を検討しているなら、政府の長期金利予想を再検討し、財政の見通しを修正する必要がある。