以心伝心という言葉がありますが、会場の参加者が30名未満であれば、否定的な意見や質問が出るとそれがそのまま会場に伝わって空気や雰囲気が一変することがあります。丁寧に対応することは大切ですが、質問にまともに答えるとドツボにハマります。
相手の立場が自分より低く、それほど難しい質問でない場合は、「Good Question(なかなかよい質問です)」と対応すると良いでしょう。「Good Question」と答えている時点で、自分の立場が上であることを印象づけますから、そこでクロージングができます。
また「Good Question」と答えている間に回答内容を考えることもできます。しかし、上から目線の姿勢ですから一歩間違えると批判を買いますので丁寧な言い方が必要です。
また、この局面を切り抜けられなければマズイような鋭い質問の場合には、「いまの質問は素晴らしいです。先日、○○○で有名なS社の役員会に出席してきました。そこに同席していた専務が同じ質問をされました。かなり鋭い質問でいますぐ直ぐにお答えできないので後ほどで宜しいでしょうか」と答えると良いでしょう。
実は、このひと言はとても重要です。「相手の自尊心をくすぐる」ことができるからです。質問者には、自分の問題意識や視点は○○○で有名なS社の専務と同等という印象を与えることができます。マズい局面であればあるほど効果的です。相手の自尊心は満足されて、それ以上、難しい方向性に波及することもありません。
いま紹介したスキルは場面を選びません。社内、営業、会議などの場面で応用できます。会議では、上位役職者の声が大きいと、萎縮して意見が出なかったり、否定的な意見に終始してしまったり、議題が分からなくなることがあります。その時には太鼓持ちのスキルが使えます。太鼓持ちは人間関係を良好にするための大切なスキルなのです。
使用量は1日1回にしてください。使用量を間違えると、途端にウソっぽくなってしまいます。用量、効能などのほか、使用上の注意、副作用にも留意してください。使用量はお間違えなく。
参考書籍(筆者の新刊紹介)
『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員