元宮崎県知事の東国原英夫さんが、4月5日の「バイキング」(フジテレビ系)に出演した際、ピエール瀧さんの相方、石野卓球さんに対し謝罪があって然るべきといった趣旨の発言をされました。
東国原英夫、石野卓球に「謝罪・説明等あって然り」(日刊スポーツ)
で、この発言が物議をかもしだしたので、東国原さんがTwitterで補足をされたんですね。
結構長い連続ツイートだったんですけど、その中に、謝罪を求める理由として、
③ 「自分が近くに居て、ピエール瀧氏の反社会的行為に気付いてやれなかった。防止する事が出来なかった事への反省の弁」また「今後、ピエール瀧氏の更生や社会復帰を支援する」等のコメントがあって然るべきではないかという立場である。これは、飽くまで、
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2019年4月6日
という部分があり「この気付かなかった反省」というのは、
依存症の支援者としては見逃せない発言だなと思ったので、次のようにツイートしたんです。
東国原様、今回のこの騒動で、この「気付いてやれなかった」発言は多くの家族を苦しめます。どうかお取消し下さい。依存症の問題には家族ですら気付けない場合が多々あります。そのことを家族自身が自分を責め、時には重篤な鬱になります。依存症はあくまでも本人の問題。周囲に責任はありません。 https://t.co/B3uOYbOazN
— 田中紀子Noriko Tanaka (@kura_sara) 2019年4月8日
これ、依存症支援に関わっている人間なら誰でも知っているセオリーですよね。
依存症家族が当事者を助けたいと思うなら、本人の問題は本人に任せるという「タフラブ」が必要だということ。
ただ、一般には広まっていないので現在「タフラブ」キャンペーンを行っている訳です。
で、この時はお返事を頂けなかったのですが、
まぁお忙しい方ですから、こちらもお返事がない事も当然と思っておりました。
ところが他の方へのリツイートだったので気がつかなかったのですが、東国原さんが4月19日にこんな風におっしゃっていらしたのに気がつきました。
① 田中紀子氏等の「タフラブ」理論等ですね。身内や仲間が過剰な責任や負荷を感ずる必要は全く有りません。「ビジネスパートナーとして、ファンや仕事関係者等に謝罪の一言くらい有っても良いのでは」という考えは今も変わっていません。 https://t.co/bDwim0JCoy
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2019年4月19日
で、びっくりして、こちらも連続リツイートで
Twitterご覧頂いたようで有難うございました。東国原さんのスタンスは理解致しましたが、本人の責任は本人がとるべきというのは、理論というよりも当事者を介入するための手段で御座います。皆、境界線が引けずに重症化していきます。依存症問題には境界線をひくことが命に関わる重要な決断になります https://t.co/vGKLMYBvpk
— 田中紀子Noriko Tanaka (@kura_sara) 2019年4月23日
と申し上げたんですね。
だって、身内や仲間が過剰な責任を感じなくていいというなら、ビジネスパートナーなんてむしろもっと感じる必要ないじゃないですか。
いやむしろ家族としては「ビジネスパートナーに余計な手出し口出しして欲しくない!」と思っておりますし、時々仕事関係者が共依存して問題がますます深みにはまるので、変な慣例を芸能界から発信されると迷惑千万です。
で、ここまではいいんですけど、ふと気がつくと今度は4月22日にも、
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③ この関係者の行動は支持する。ピエール瀧被告の事件の時、「高が違法薬物くらいで大騒ぎしやがって、相方の石野卓球氏は謝る必要は一切無い」と声高に主張していた「ぜんじろう君」(君でいいかな?)が今回「高が、酒に酔って暴力振るったくらいで大騒ぎ
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2019年4月22日
④ しやがって、仲間・グループが謝罪する必要は一切無い‼︎」と声高に主張しない不思議。「周囲や関係者が絶対に謝ってはいけない」が持論の田中紀子氏は、AAAのメンバーの方々に「絶対に謝ってはいけませんよ」と助言・指導等されたのだろうか。
— 東国原英夫 (@higashi_kokuba) 2019年4月22日
と書かれていたので、またまたびっくりしてしまったんです。
だって、ピエール瀧さんはコカインの自己使用で、しかも20歳の頃から度々使用していた、とおっしゃっていたんですから、依存症者もしくは乱用者であることは間違いないじゃないですか。実際に、保釈後は自ら治療にも繋がられたようですよね。
ところがAAAの浦田さんの場合は、アルコールによる暴行事件なわけですよ。コカインの自己使用のように原因が速攻で分かるものとはわけが違いますよね。
アゴラさんにも書かせて頂きましたが、
アルコールの暴行事件は、ビンジ飲酒なのか?酒乱なのか?はたまたアルコール依存症なのか?
そんな簡単には分からないです。
この辺をおそらく東国原さんは理解されていないから、このような発言になったのだと思いますが、アルコール問題はイコール依存症問題なんかじゃないんです。むしろ暴力、飲酒運転、事件、事故などはビンジ飲酒に多いんです。
ただ後追い記事とか、ご本人の記者会見、TOKIOさんなどの場合は、メンバーの会見もありましたから、私たちからすると「あぁ、やっぱり依存症だろうな」となんとなくわかることはあります。
で、このAAAの浦田さんの暴行事件は、記者会見や後追い記事を読んだ私の感想ですけど、アルコール依存症という気がしないんですね。だからそれも記事に致しました。
なので、依存症の回復のセオリーとして「周囲の人が本人の責任を取り上げないで下さい!」とは申し上げましたけど、依存症問題とも思えないこの件で私がAAAのメンバーの皆さんに、おこがましい助言や指導をすることなどもちろんないですし、そんな偉そうな立場などでもありません。無名の一介のおばちゃんなんですから。
東国原さんにも、助言や指導などではなく、丁寧にお願いしたつもりです。(文字数に制限があるので失礼はあったかもしれませんが。)
第一、この件は被害者ありきの暴行事件じゃないですか。重篤な犯罪ですよね。ピエール瀧さんの事件とは全く別問題ですよね。
私にはどうしてもそこまで東国原さんが石野卓球さんの謝罪にこだわり、我々依存症問題に日頃関わる現場の人間からのお願いに対しても、受け入れて頂けないのは何故なのか?全く理解ができません。
これがですよ、東国原さんも日頃から依存症者の支援に関わられていて、私たちとは違う方法で何人も救いだしている実績があるならわかります。でもハッキリ言って、絶対に私よりは依存症問題のことご存じないわけじゃないですか?
私は、他の全てのことには東国原さんより知識も経験も劣っていることでしょう。
そんなおばちゃんにツイッターで絡まれて腹が立たれたのかもしれませんけど、何故、東国原さんがそうまで謝罪という持論に固執するのか?
「あぁ、そういう理由があるんですね。わかりました」とすんなりおっしゃって頂いて、むしろ「僕も知らなかったんだけど…」と言って、この手法を広めて頂けたらどれだけ助かることか!大きな社会貢献だと思うんですけど?、そうなさらないのは、メンツなのでしょうか?
東国原さん、現在全国で「ビューティフル・ボーイ」という映画を上映中です。
どうか是非この映画ご覧になってみて下さい。これは依存症者を助けるためにどれだけタフラブが大切か?ということが描かれた映画です。
そしてタフラブを貫けないと、いかに簡単に人が死んでしまうかもわかります。「何もしてあげられない」家族の悲痛な決意を、どうかご覧になって下さい。
ハッキリ申し上げますが、東国原さんがどれだけ固執されようとも、石野卓球さんに謝罪を要求するのは間違いです。
依存症者の代わりに誰かが謝罪し、起こった出来事そしてその結末を説明するようになったら、依存症で死ぬ人は今より倍増するでしょう。
それはあくまでも自分でやるべきで、自分の責任は自分でとるべきなのです。
東国原さんのメンツより、人の命を救う方がずっと大事だと思いませんか?
もう、こだわるの止めて頂けないでしょうか?
田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト