連休が始まり、空港は大混雑だと報じられています。しかし、最近の混雑は日常的で国際線に乗るたびに不便を感じるようになっています。まず、思った飛行機の便がとりにくくなり、価格が以前に比べてかなり上昇、空港の混雑は都心のターミナル駅並みなのです。
今回、成田からバンクーバーに戻ってきた際、チェックインで30分(カナダの移民権者は日系の航空会社の自動チェックイン機が使えません)並び、荷物検査で15分、お土産屋でお菓子をひと箱買うのに15分並ばなくてはいけません。飛行機は満席でバンクーバーにつけば入国審査のところで20分、荷物をとるターンテーブルはどこも荷物があふれ、ターンテーブルが明らかに不足しています。
平日でこの有様ですからこの連休は驚異的な混み方で相当早く空港に行かないと焦ってしまう人も多いことでしょう。
航空運賃はダイナミック プライシングという実質変動相場ですので必ずしも早く予約した方が安いわけではなく、時として直前なのにあれっと思うほど安くなる時もあります。しかし、5月連休の日本発の国際線のみならず、7-8月の夏休み価格も昨年に比べ1-2割値上がりしている感じがするのは需要と供給のバランスをビックデータが判断して自動値付けしているためだろうと思います。
飛行機の需要については今後20年で4万2千機、金額にして700兆円の需要(サービスまで含めると1600兆円)があるとボーイング社は予想しています。世界の航空輸送量は年4.7%伸びるとみられています。この需要は中国、アジアや中東、アフリカなど新興国などで所得水準の上昇とともに人の動きが増大していること、人々が国境を越えて居住するようになり、観光ではなく、定期的な航空機利用の需要が増えていることもあるでしょう。工場も地産地消となり、国際的企業の従業員の移動も以前にも増して動きがあることも要因かと思います。
個人的には成田のキャパシティが厳しくなっていると思います。一般には滑走路の利用具合をそのキャパとみなしていると思いますが、空港内のインフラそのものがそれ以上に全然追い付いていません。
例えば海外では今、セキュリティチェックは1つのレーンで4人同時に手荷物を載せる作業ができるシステムが導入されていますが、成田や羽田は依然旧式の一人ずつ手荷物をベルトコンベアに乗せるやり方です。なぜ、新型システムを導入しないのでしょうか?また免税ショップエリアも一等地に構える一流ブランド店は閑散としているのに、人があふれる一般のお菓子などの土産店は狭く、大行列を放置しています。
また成田では飛行機が動き出してから実際に飛ぶまで2-30分かかることも珍しくありません。これは滑走路に出るまでのルートが長い上に離陸渋滞が起きているからです。
個人的にはこのままの状態では日本の飛行場は発着がいくら増えても実質的にパンクして使いにくい空港になるとみています。羽田は都心上通過ルートの開拓により国際線枠が3.9万回増えます。成田も第三滑走路を10年以内に完成させるとしていますが、ボーイング社の需要予想と日本政府の4000万人という強気の訪日外国人計画を踏まえれば空港そのもの混雑にどう対応するのかそこが見えてきません。
関西ですら3つの空港がある中で東京には2つしか飛行場がないこと自体にも無理がある気がします。私は茨城空港を都心の第三空港として活用すべく高速鉄道路線の新設を含めたプランを立てるのも一案ではないかと思います。
ところでこれだけ航空機の需要が膨らむ中で三菱航空機のMRJが過去3年間新規受注ゼロとなっています。3年間ゼロ!です。海外において「新発売モノは気をつけろ」といいます。不具合が多いのが常識だからです。いくら日本製だといってもその不安感はぬぐえないものです。ある程度期間運航し、実績を積まないと厳しいのでしょう。あのボーイング社ですらエラーを起こすのです。三菱航空機がこの過酷な戦争に参入し、勝ち抜けることができるのか、これまた別の意味で注目しています。
人のグローバル化で日本に来る外国人は圧倒的に増えました。しかし、日本から海外に行く人の伸び率は緩やかです。過去10年で23%、つまり単純計算で年に2%強、実質では年2%以下の伸び率です。海外旅行物価についていけないという旅行者の声も聞こえてきます。なにやらこちらもグローバル化からは見放されてしまっているのでしょうか?
ちょっと寂しい気がします。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2019年4月28日の記事より転載させていただきました。