国連の声明を国もバイキングも東国原さんもどう受け止めるのか?

田中 紀子

一昨日の4月29日に私の仲間が、このツイッターを発見し、我々、依存症界隈の家族達がザワつくというちょっとした事件がありました。

これ英語が苦手な方は(もちろん私も苦手です!)、グーグル先生の訳をご覧いただきたいのですが、どうやらHarm Reduction International会議に、ついに!国連人権高等弁務官が登壇したようなんですね。

このHarm Reduction とは、Wikiをご覧いただくのが手っ取り早いですが、

ハーム・リダクション(Wikipedia)

つまり薬物がやめられなかったとしても、二次被害的なこと、例えばHIVへの感染など予防できるものは予防し、少しでも害を軽減しようじゃないか!という世界的な流れとなっている取り組みです。

ところがこのHarm Reductionの考え方に、否定的なのがわが国日本なのです。
どうやらこのHarm Reduction International会議にも、日本からの正式参加はない模様なんです。

こういうのは本当にショックです。日本はもっと世界の流れを学ぶべきだし、頑固に精神論だけで「ダメなもんはダメなんだ!」って言い続けていたって、薬物問題は一向に解決されない訳ですから、せめて会議に参加し勉強位するべきじゃないですか?

だって重要なのは精神論ではなく科学的なエビデンスじゃないですか。
こちらのHPをご覧いただくと分かる通り、
Harm Reduction International(HP)

現在多くの政府が懲罰的な薬物法の欠点を公然と認めており、費用効果の高いハームリダクション実施を含む改革に向かっているんですよね。

つまり「ダメだ!ダメだ!ダメと言ったら絶対ダメなんだ!」と、どんなにガミガミと精神論をかましたって、必ずやる人がいる。じゃあ厳罰化して厳しく取り締まったら、薬物犯罪が減るか?といったら全然減らないし、しかも経費だけはバカみたいにかかって、それ税金が負担するんだよね。

だったら非犯罪化にして、刑罰をやめちゃえば皆相談しやすくなるしさ、健康問題として回復の方へ導こうよ!
ってやったら、実際めっちゃ薬物問題が軽減したよ!と、この実績をまず最初にあげたのがポルトガルなんですよね。

そうしたら他国も「マジ~!?それ助かるわ~。だったらうちもやってみよう!」となって、今や非犯罪化が世界の流れになってきたんですよ。

それ尻目になんで日本は「ダメといったらダメ」と、時代遅れの頑固親父みたいになっているんでしょうか?

うがった見方をするとですよ、実際世の中って、犯罪がらみで食ってる公務員やその周辺の人って沢山いる訳じゃないですか。警察だって、マトリだって、刑務所だってなんだって、めっちゃ悪い言い方をすれば、薬物問題の利権者ですよね。

だから薬物の効果的方法を取り入れずに、あいも変わらず薬物政策で失敗し続けて、自分たちのポジションや食いぶちを確保しているのかしら?って思っちゃいますよね。だってわざわざ効果的かつ安上がりな方法を取り入れないのって、自分たちの利権か保身?って、ここまで頑固に動こうとしないと疑わざるを得ないじゃないですか。

だって日本は幕末の時代から「黒船」には弱腰なんですよ。こうして国連までもが人権問題として動きだしているにもかかわらず、何故、日本はその国連の動きに批准しないのでしょうか。

国連人権高等弁務官はこう言っています。

麻薬使用者の犯罪化は、人々が医療や社会福祉サービスを求めることを妨げ、大量収容を促進します。
なぜ薬を使うからといって、そんなに多くの人々が自分たちが人間としてふさわしい権利を奪われ続けているのでしょうか?

国もバイキングも東国原さんも一体何故なのか?
その明確な理由を是非教えて下さい!

ついに国連が、人権問題として扱うことになったんですよ!すごいことじゃないですか!
それなのになぜ、ご自分たちに薬物事犯の人格や権利をおとしめても構わない権利がある!と思われるのか?
あわせてお答え頂ければと思います。


田中 紀子 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト