プレゼントをもらったら、誰でも悪い気はしません。つまり、相手を懐柔したり、謝罪したりする時にプレゼント、昔風に言うなら「付け届け」は効果抜群です。今回は、拙著『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)のなかから関連するエッセンスを紹介します。
残念ながら多くのビジネスパーソンはこの「付け届け」の効果を理解できていません。賄賂のような印象があるからでしょうか、それとも昔ながらの風習に見えて時代遅れと思っているからでしょうか、若い世代になればなるほど「付け届けはカッコ悪い」と間違った価値観を持っています。
デキるビジネスマンはこの付け届けの効果に着目し、しっかりと使いこなしています。ただ、その一方で単にプレゼントを送っているだけの状態になってしまっている場合もあります。相手からの印象をたとえば、お中元やお歳暮などで「ビールでいいや」と毎年、同じ贈り物をしていませんか?
付け届けで重要なのは、落としたい相手の先にいる人物を想像することです。部長に気に入られたいなら、部長が喜ぶものを贈るよりも、その先にいる人物、つまり部長の奥様であったり、お子様であったりを喜ばせることを意識するのです。
例えば部長が結婚していれば、奥様が喜びそうな新発売の「ヘルシーオイル」や、お子様が喜びそうな「アイスクリームセット」を贈ることで、自分を印象付けることができます。
これは上司に限った方法ではありません。初訪問の取引先にお土産を持っていく場合や、謝罪の場面でも有効なのです。女性社長、女性社員が多い会社であれば、行列ができる人気のスイーツを選んで持っていくべきでしょう。
社長には秘書がついています。社長が食べなくても、手渡したスイーツはそのまま秘書や会社のメンバーで消費されることが容易に想像できます。そのうちの1人でもこの有名スイーツのことを知っていれば、「わざわざ並んで買ってきてくれた」ことが第三者の口から社長に伝わります。これほど好印象を与える方法はないと思いませんか?
その後の展開がうまくいくかどうかはスイーツひとつで決定づけられるものではありませんが、少なくとも何もしないよりは良い結果を生みます。プレゼントをする時には、贈る相手のその先にいる人物を意識することが重要なのです。
尾藤克之
コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員
※4月19日に『波風を立てない仕事のルール』(きずな出版)を上梓しました。