顔に焦点を合わせて背景をぼかしたポートレート写真がスマホで撮れるようになってきた。二つ以上のカメラモジュールをスマホに内蔵し、画像を電子的に合成する技術が進んだからだ。
子どもから大人まで誰でも使える簡単なカメラをコンパクトカメラという。スマホの興隆と共にコンパクトカメラ市場は縮小してきた。カメラ映像機器工業会の統計によると、2008年の国内出荷は986万台・1904億円だったが、2018年には179万台・299億円まで減った。
レンズ交換の出来る高級型の場合、2008年には125万台・7264億円、2018年は106万台・5817億円と、コンパクトカメラよりも縮小の程度は小さい。しかし、ポートレートまでスマホで撮れる今、将来は明るくない。
風景や人物を撮影する道具としてのカメラはスマホに飲み込まれた。しかし、カメラモジュールにはIoTに組み込まれスマートシティの中で多用される未来がある。この新市場への進出がカメラ業界生き残りの道である。
パソコン業界はどうだろう。電子情報技術産業協会の調べだと、2008年度の国内出荷は879万台・9758億円、2018年度には333万台・315億円。産業用・オフィス用市場は続くだろうが、家庭用はスマホに飲み込まれた。
電車内でゲームを楽しむ人は目的駅に到着すると操作を止める。彼らにとってゲームは暇つぶしの道具である。日経NEEDSによると、2017年度のスマホゲーム国内市場規模は1兆290億円で、家庭用ゲームは4343億円だったという。小さな子供も一緒に家族で楽しむにはニンテンドースイッチが適しているが、他の市場はスマホに飲み込まれた。家族向け市場にはAmazon Primeのような対抗馬が出てきている。
市場の激変は、カメラでもパソコンでもゲームでもこの10年で起きた。次は動画配信がテレビを飲み込むかもしれない。急激に変化する市場への対抗策・対応策を持たないとその産業に未来はない。
次回はロボットやAIの台頭について話題提供する。