大津事故の教訓:危険の見える化という選択肢

こんにちは、都議会議員(町田市選出)おくざわ高広です。

ここ数日の悲しい自動車事故を見るにつけ、憤りが日に日に増しています。なんの落ち度もない子どもたちが巻き込まれ、その親や園の先生方の心の傷はもう誰にも治すことができないんじゃないかと思うと、涙が出てきます。

しかし、私が泣いてもなんの解決にもならないわけで、この出来事から一つでも多くのことを学び、社会に残していかなければならないとっています。早速に、自動ブレーキの義務化を求める要望やガードレール設置要望のとりまとめを始めた方々がいらっしゃることは頭が下がります。これらの動きには賛同した上で、私がすべきと思うのは「危険の見える化」です。

都議になってからの2年、都道や河川などの危険(と思われる)箇所について、幾度か行政とのやり取りをしてきました。その中で感じてきたのは危険であることを認めたくない方々が少なからず存在するということです。

危険と認めたら是正が必要となるわけで、予算が足りないからなのか、あるいは危険を放置していたことを認めたくないのか、はたまた現場に足を運ぶ人手が足りないのか、それは分かりません。

大津市の事故で証言がありましたが、実際の事故含めヒヤリ・ハットが多発していていたようです。町中のヒヤリ・ハットを集め、対応の優先順位を決め、速やかに是正を図っていく必要があると考えています。その際、最も大事なのは、より多くの情報を集め、客観的に危険度と優先順位を見える化することです。

※ヒヤリ・ハットとは、重大な災害や事故には至らないものの、直結してもおかしくない一歩手前の事例の認知。

情報を集めるという点では、私の地元なら、まちぴか町田くんのような市民からの声を集めるアプリを活用することが効果的です。まだまだ導入が進まない地域もあると聞きますが、まちの安全を高めるには、市民と行政の協力が不可欠です。このようなツールの導入を進めるべきです。

※まちピカ町田くん

危険度と優先順位の見える化においては、AIなどの活用が考えられますが、現時点では有効なツールが思い当たりません。官民連携で開発が進むよう、モデル的な取り組みを進めていくよう都に求めていきたいと思います。ここでもう一つ大事なのは、政治家が余計な口出しはしないことだと思います。主観ほど曖昧な判断となるものはなく、政治家があまりに強く行政に求めれば、正しい優先順位を歪めてしまいます

あくまでも情報収集と情報提供にとどめ、客観的な判断は委ねる姿勢で臨みたいと思います。ただし、行政が危険ということを認めなかったり、優先順位に不服がある時には厳しく指摘していく姿勢も併せて持つべきであり、政治家としてのバランス感覚を大切にしていきたいと思います。

これをすれば、全てが解決するという万能薬はありません。でも、色々な観点から一歩ずつでも取り組んでいくしかありません。自分自身が安全運転を心がけることなら、誰にでも今からでもできます。誰かがやってくれる、ではなく、誰もが少しずつ取り組んでいくように願いを込めて。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2019年5月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログ『「聴く」から始まる「東京大改革」』をご覧ください。