ども宇佐美です。
例の北方領土に関する戦争発言で丸山穂高氏がマズイことになっているような気がするので、少しばかり思うところを箇条書きにて述べたいと思います。どう受け止めるかは本人も含めそれぞれですが、私なりに応援しているつもりです。
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・まず私と丸山の関係についてだが、実のところそれほど深い関係があるわけではない。だから私が色々と丸山のことを述べたところで、彼はきっと「うるせー宇佐美に何がわかるんだ」と感じていると思う。ただそうは言っても同じ大学、同じ学部、同じ職場の一つ違いという縁で情もわくし、また彼はそのキャラクターで若い頃から注目されていたこともあり、彼を直接知る人からそれなりに話は聞いてきた。
・もはや公知といっても良いと思うが、丸山がいわゆる「酒乱」であることは間違いない。それは昔からのことで学生時代から酒に酔っては妙に強気になってトラブルを起こすということはよくあったと聞いている。
・詳細は差し控えるが経産省時代も大きなトラブルがあった。議員になってからも度々不祥事があったことは既報通りである。つまり彼は酒で数限りない失敗をし続けている。
・このことは一定程度自覚しており過去に断酒宣言したものの、スリップしたのも既報の通りである。余談だが、丸山が話題に上る時に「酒さえなければ、、、」というのは定例文句であったので、彼に断酒が必要なことについては衆目一致していたといっても良いと思う。
・彼がいわゆる「飲んだら止まらない」というタイプのビンジドリンカーであることは間違いない。アルコール依存症であるかどうかは診断を待つ他ないが、おそらくはそうなのだろうと思う。ただ現状の彼を見ていると何らかインセンティブがなければ、正直に問診票に応えることは難しいかもしれないとも感じる。
・これはあくまで仮説だが、これほど失敗を繰り返しても断酒しないorできないのは、おそらく失敗時の記憶があやふやで自覚が乏しいのだろうと思う。「責任感がない」とか「社会人としての自覚がない」とかいう問題ではなくて、多分自分が「やらかしてしまった」時の記憶がないので実感がないのだろう。そういう意味では今回映像、音声が残って自分の行状を確認できるのは彼の人生にとって大変良いことだと思う。
・あとは「酒に酔って出た言葉は本音でその人間の本質を表す」という俗論があるが、これは暴論で、これを影響力がある識者が発信するのは大変残念である。そもそも人間は多面的な存在で「一つの発言を持ってその人の本質を示している」などと主張するのは無理がある。単に泥酔すると理性が効かなくなるというだけの話である。
・誰しもと同じように、丸山にも良いところも悪いところもあって普段はそれがコントロールされているが、酒を飲むとブレーキが壊れてコントロールを失って暴走してしまう、というように理解すべきと思う。そういう状況が繰り返されているのだから、いずれにしろ丸山の状況は深刻である。
・したがって少なくとも誰かが責任を持って精神科・クリニックの診断まで導くこと、断酒会への参加を促すことは、彼の今後の人生を考えれば必要不可欠のように思う。そのためには本人の意思の転換、場合によっては「底つき」も必要なのかと思う。twitterの内容を見る限り彼はまだ自己を正当化しようとしており、底をついていない。
・ただ今回の「戦争発言」は、あまりにもTPOをわきまえておらず当事者の活動ー政府の領土返還交渉を阻害しかねないものであるし、また世界に対して「日本には軍事力で北方領土を奪い返すことを企図する政治勢力がある」と間違ったメッセージを与えかねないので、何らかの処分は必要かと思う。
・その意味で本人に辞職を求める声は理解できるが、現実にこの日本中からバッシングされている状況で丸山が辞めたら食い詰めることは間違いない。なので、仮に所属政党であった維新が丸山に辞職を求めるなら、一方で辞職後に断酒・回復に向かう道を示す責任があるように思う。
・ましてや維新は「万全のギャンブル依存症対策」を主張している政党である。「これがアルコールではなくてギャンブルだったら」と想定して、少なくとも診断に導くことくらいはする必要がある。もし維新がそうしない、できないなら、彼らの言う「万全のギャンブル依存症対策」というのはウソだったということなのだろうと少なくとも私は判断するし、多分国内の依存症支援関係者の多くも同じことを感じるだろうと思う。
・いずれにしろ今の丸山は、どんどん孤立に向かっており大変まずい状況であると思う。孤立するとまた酒に向かうという負のスパイラルが始まりかねないし、酷い場合は自殺する。永田元議員の自殺に国会が何も学ばないなら悲しすぎる。彼の周りにいる方々におかれては、願わくば支援団体につなげるか、少なくとも診断は受けさせるように促して欲しいところである。
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ではでは今回はこの辺で。
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追記。アルコール依存の当事者の方からいただいた脚注です。
脚注させてください。まず、周囲の人間から見た彼への評価はまさにアルコール依存症のそれだと感じます。しかし本文にあるように、診断は本人の問診によるほかなく、素直な気持ちで受けないと診断も難航すると思われます。数値等で診断できる病気ではないので。
— 故郷求めて (@furusatochan) 2019年5月16日
病気を自覚しない中での断酒宣言(2016)は、依存症がよくやるパターンです。しかも彼の場合公職をかけて行っているので、守れないのは余程のこと。これも、依存症であることの強い証拠になる。
— 故郷求めて (@furusatochan) 2019年5月16日
宇佐美 典也 作家、エネルギーコンサルタント、アゴラ研究所フェロー
1981年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業後、経済産業省に入省。2012年9月に退職後は再生可能エネルギー分野や地域活性化分野のコンサルティングを展開する傍ら、執筆活動中。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝えたいこと』(ダイヤモンド社)、』『逃げられない世代 ――日本型「先送り」システムの限界』 (新潮新書)など。