「ゲーム依存は疾病」に反対した韓国の屁理屈

山田 肇

WHOはゲーム依存を国際疾病分類に追加した。これによって治療法の開発が進み、また各国統計の比較ができるようになる。これについて、メディアは韓国が追加に反対したと報じている

韓国でも盛んなゲーム(Rolf Venema/flickr)

どんな理由で反対したのか気になったので英文情報を探したところ、韓国がWHOに提出した意見書が韓国Yonhapで記事になっているのを見つけた。韓国は次のように主張したらしい。

若者はゲーム自体のせいでゲーム依存になるのではない。学校、教員や仲間からの社会的支援、両親のふるまいなどがストレスとなって、ゲームをせざるを得ない状況に陥っているのだ。

この主張は正しくない。ストレスで薬物に走る人、ストレスでタバコに走る人、依存の多くはストレスが原因である。しかし、そのような人々に薬物を断つ治療や禁煙治療が施されるように、ゲームに走る人にはゲームを断つ治療が必要になる。もちろん治療の過程ではストレスを緩和する術も指導されるが、たとえばタバコならニコチンが脳内報酬系に作用して生じる依存状態を治療する必要がある。

気になったのは途中で見つけたSouth China Morning Postの記事。疾病に分類されると韓国ゲーム産業には90億米ドル(1兆円)の経済的損失が降りかかるというのだ。記事の通り目先の経済的利益を期待しての屁理屈だったとすれば、WHOが認めるはずはない。韓国の主張は退けられ「ゲーム依存は疾病」と決議された。