若者が会社の飲み会を嫌がる2つの理由と改善案を考える

黒坂 岳央

こんにちは!黒坂岳央(くろさかたけを)です。
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ミュゼプラチナムが18~22歳の女性213人に行った「働き方に関する調査結果」によると、職場の飲み会は、「コミュニケーションのためやむを得ず参加する」が49%と半数を占めると明らかになっています。昨今の、「若者の飲み会離れ」が指摘されるようになりましたが、実に半数もの人が本意ではなくいやいや参加していることが明らかになっています。

写真AC:編集部

かくいう私も昔から飲み会が大嫌いでした。特に会社員をやっていた頃に参加した飲み会は、その9割以上が参加した後に後悔を感じていたものです。しかし、その中にも有意義だと感じたものもありました。

ツイッターでも飲み会についてつぶやいてしまいましたね。

なぜほとんどの飲み会はつまらないのか?若者はそんなに飲み会が楽しくないのか?を考えてみます。

1.  時間とお金のムダ

人は利己的、合理的を好む動物です。参加する飲み会も「価値>価格」を感じられなければいきたいと思わないのは自然な発想です。多くの飲み会は「親睦、交流のため」と評されていますが、その実参加するために必要な会費・時間を超える価値が提供されているものは、実際多くはないのではないでしょうか?たとえば、

会費:5,000円
時間:19:00-21:00

という設定の飲み会であれば、2時間と5,000円を費やして余りあるメリットがなければ、率先して行きたいとは思わないものです。会費以上の価値のある飲み会ということについて言えば、参加することで5,000円以上の価値を感じられれば良い、ということになります。それは、参加する人が「ここでしか聞けないためになる話を聞いた」、「人脈になり得る交流ができた」と思える何かを得るということです。

私が過去に参加してよかったと感じた飲み会は、ある外資系企業の役員との飲み会でした。彼に私が目指しているキャリアを話すと、そのキャリアアップを実現するために必要なスキル、知識、キャリア、経験を丁寧に教えてくれ、今後の仕事もそのキャリア実現にマッチするものにすると約束してくれました。飲み会の翌日以降、早速彼は私に数々のプロジェクトの仕事に携わらせてくれ、その時の経験が活きて経理・財務のファイナンス部門から、国際経営企画の部署へ異動させてもらう際の大きな武器になりました。飲み会の会費は十分に元を取れたと感じた、素晴らしい飲み会でした。

しかし、多くの飲み会はそのような有意義なものではありません。上司の愚痴や自慢、武勇伝をガマンして聞かされたり、タバコの煙が充満する部屋の中で、2時間の間お酒を注いで回るなど「労働」としての色彩が濃い時間を過ごすことが多いのではないでしょうか。このような飲み会が多いですから、「時間とお金がムダだと思える飲み会に参加したくない」という若者の気持ちはよく理解できます。

2.  気疲れする

飲み会がつまらない理由の1つに「気疲れする」というものがあります。お酒を飲んで胸襟を開いた会話をして、スッキリストレスフリー!というのなら話が異なりますが、そうした飲み会は少数派でしょう。

写真AC:編集部

「上司のグラスを空にしてはいけない」と教えられ、新人だった私は上司の真横でずっとグラスに注意を向けて食事もお酒も楽しめなかった事があります。また、「飲み会の会場が分かりにくいので、早めにいってビルの入口でプラカード持って誘導して」と言われて、木枯らし吹きすさぶ中、四ツ谷の雑居ビルの前で「飲み会会場は7階にいってくださーい!」と寒さに震えながら誘導をしたこともありました。

「今夜は無礼講で」と言っても、実際には無礼講ではありません。上司のご機嫌を取りながら、下っ端はひたすら気遣い、気遣い、そして気遣いをしなければいけません。このような時間を「楽しい」「有意義」と感じるのは難しいのではないでしょうか。

「苦痛」を「楽しい」に変えるには?

私は会社員ではなくなりましたが、経営する会社で飲み会や、自分のビジネスでお世話になっている取引先、教育ビジネスの生徒さんとの飲み会をすることがあります。基本的に相手から求められない限り、自分から飲み会をやろうとは言わないのですが、もしも開催する時は参加を強制せず、そして自分は徹底的にホストになります。参加者一人ひとりと真横に座って話をするのですが、その際は一切自分語りはせず、相手の抱えている悩みや問題点を傾聴し、求められた時のみ、僭越ながら自分なりのアドバイスをさせて頂いています。

とにかく参加者に価値を感じてもらえるように、とにかく楽しさを感じてもらえるよう、徹底的に相手に尽くすように気をつけています。おかげさまで、この間の飲み会は一口も食べる時間はありませんでしたが、参加者の方からたくさんの「ありがとう」を集めることができました。

つまらない飲み会で若手に敬遠され、「最近の若者はケシカラン」と説教をして、自分たちばかりが楽しむのではなく、つまらない原因を冷静に分析し、問題となっている点を解消するために行動することが、上司や経営者の役割ではないでしょうか。

黒坂 岳央
フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」 代表

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。