お金の心配をすべきなのは「高齢者」よりも「若年層」

金融庁が発表した人生100年時代には年金プラス2000万円が必要だという試算が話題になっています。

大半は、「年金だけでは不十分と政府が突然国民を見捨てた」「100年安心は嘘だったのか」といったネガティブな反応です。しかし、永江一石さんのブログを読んでいたら興味深いデータが示されていました。

総務省の全国消費実態調査に掲載されている日本人の年代別の資産金額をまとめた「世帯主の年齢階級別1世帯当たり家計資産の内訳(二人以上の世帯)」によれば、家計の資産額は、

30歳未満が 754万円
30歳代が 1222万円
40歳代が 1965万円
50歳代が 3460万円
60歳代が 4802万円
70歳以上が4759万円

となっています(図表)。

総務省の全国消費実態調査より

貯蓄現在高は、70歳以上を除けば、年齢階級が高くなるにほど多く、負債現在高は年齢階級が高くなるほど少ない。つまり、日本人は現状では「死ぬときが一番お金持ち」という状態になっているのです。

しかも、60代、70代の平均貯蓄現在高は2000万円を超えています。貯金ゼロの人から資産規模が大きな人まで個人差はあるとは思いますが、日本の高齢者は意外にお金持ちであることがデータから証明されます。

これを見ると、お金の心配をしなければならないのは、高齢者よりもむしろ30代、40代といった若年層であることがわかります。

写真AC:編集部

現在の高齢者は、比較的恵まれた経済環境の中で資産形成をすることができました。それに比べるとこれからの労働環境は厳しくなり、年金制度も改悪されていくことはほぼ確実です。日本の経済成長率も上昇することは期待できず、外部環境が改善することは想定できません。

10年後、20年後に老後を迎える世代のお金の不安をどうやって解消していくのか。直面する問題は高齢者の人たちの貧困問題ですが、その先には今よりももっと恐ろしい問題が待っていることをこのデータは示唆しています。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年6月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。