国会で認知症対策の議論を活性化すべく昨年立ち上げた『認知症国会勉強会』ですが、先日開催した第10回勉強会には、認知症介護研究・研修東京センター研究部長の永田久美子さんにご参加いただき、意見交換を行いました。
現在、年間15,000人以上の認知症行方不明者が発生し、うち約500名は亡くなったり未発見のままとなっています。
このような背景や、認知症に対する偏見や誤解などから、認知症当事者の方々が社会に出て自分らしく生きることを抑制するようなケースも一部に見られます。
一方で、認知症当事者からは、
・認知症になっても外に出て活躍して、生き生き暮らしている人たちもいるのに、病院にも役場にも、私の話を聴いて、やりたいことを応援してくれる人が見つからない。
・まだまだやりたいことがあるし、いろんな力があるのに、役所に訴えても「ご家族と来てください」と言われ、相手にしてもらえない。
・行きたいところに行きたい。会いたい人に会いに行きたい。でも、家族に止められる。一人で安心して出かけられないから、鬱々として体調も悪い。
といった声があがっています。
そのような中、認知症当事者の団体である『日本認知症本人ワーキンググループ』では昨年、『認知症とともに生きる希望宣言』を採択し、以下の5項目を訴えています。
1 自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
2 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
3 私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
4 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
5 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを一緒につくっていきます。
現在、認知症施策立案の際、当事者の意見を聴く機会を設けている自治体は、都道府県で12.8%、市区町村で0.7%と、まだまだ少ないのが実態です。
私が起草した『認知症基本法』においては、国、都道府県、市区町村が認知症施策を検討する際に当事者等の意見を聴くこととしています。
基本法の成立とともに、認知症当事者の方々にとって暮らしやすい地域づくりがもっともっと進んでいく、そんな将来を頭の中に描きながら、基本法の成立に向けて取り組んでいます。
(この勉強会に事務局として関わってくれている、栗田さんをはじめ日本医療政策機構のみなさんに感謝申し上げます。)
編集部より:この記事は、衆議院議員、鈴木隼人氏(自由民主党、東京10区)のブログ 2019年6月8日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は鈴木氏のblogをご覧ください。