メールは仕事の96.5%!誰も教えてくれないマナーとは?

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従来であれば、仕事上のコミュニケーションは電話が一般的でした。しかし電話は相手の時間を奪うということもあり、最近ではメールが主流になっています。今回は、『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)のなかからメールに関連するエピソードを紹介します。

(一社)日本ビジネスメール協会(代表理事:平野友朗)の「ビジネスメール実態調査2018」によれば、仕事で周囲とコミュニケーションをとるおもな手段は、「メール」(96.50%)がもっとも多く、「電話」(90.02%)、「会う」(68.87%)と続きます。この並び順は2011年から変わりません。

契約成立が難しくなるアポイントメール

いまや約束事の多くはメールを介しておこなわれます。ただ、会社のビジネスマナー研修では教えてくれない、メール送信の際に気を付けたいマナーが存在します。まずは、アポイントの約束を取りつける場合のNGから。

気遣いができる人は「月初めでいかがですか」「週明けでいかがですか」というように、より範囲を狭めたゆるやかなコンタクトをします。しかし、それ以外のメールだと、契約成立の可能性が下がってしまいます。実例を見てみましょう。

「○○様、いつならよろしいですか?」

相手が情報収集程度ならいいかと思っている場合は、「いつならよろしいですか」なんていわれても、迷惑なだけです。たとえば、好意のない相手に何回も断られて「いつならよろしいですか?」と聞いたところで、いい答えは得られないはずです。

「○○様、来月あたりはいかがですか?」

これも、なるべく避けたいメールです。相手が「来月はまだ予定がはいっていないものの、重要な予定がはいるかもしれないので約束を確定させたくない」と思う場合、アポイントが成立しにくくなります。

「○○様、来月初旬ではいかがですか?」

「来月初旬はいくつか予定がはいっているものの、ピンポイントなら空けられなくもないかな」と返信しやすくなります。曜日や時間を確定させないまでも、ゆるやかなコンタクトなら受け入れられやすいものです。

やってはいけない「上司も来て」メール

これはよくあるケースですが、訪問の際に「上の方もお連れください」という方がいます。「上司を連れてきてください」という意味ですが、「あなたでは不充分だから上司を連れてこい」という解釈になるので送られたほうは非常に不愉快になります。

相手をバカにしているので、尊厳を傷つけていることに他なりません。絶対に送らないようにしましょう。重要な会議やプレゼンなどの場合、「上司を連れてきてください」という気持ちはわかるのですが、これでは会社の品位を落とすことにもなりかねません。

もし「上司を連れてきてほしい」と思うなら、次のようなアプローチなら軋轢を生むことはありません。相手の上司に決定権がある場合のアプローチです。

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あなた:「ちなみに、この提案の決済はどなたになりますか?」

相手:「直属の上司である、部長の井上になります」

あなた:「部長の井上様は同席されますか?スムーズに意思決定をするためにも、上司の方も一緒のほうがよくないですか?」
---ここまで---

もし、このように話しても、先方から、「上司を参加させる旨」の回答が得られない場合、打ち合わせ自体を中止しても構いません。理由は時間のムダになる可能性があることに加えて、上司のあなたに対する心象が悪くなるからです。今度はあなたが上司にいわれてしまうでしょう。「ちょっと聞くけど、先方の上司は同席しないのかな?」。

<参考書籍>
3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)

尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)