「変節」を否定する人に待っているのは「衰退」

資産運用に関する書籍を40冊以上書いていますが、金融資産を使った方法から、不動産などの実物資産に資産運用手法が「変節」したと、批判されることがあります。

金融資産の運用を否定してはおらず、インデックスファンドの積立は引き続き最も有力な資産運用の方法だと思い、自分自身も実践し続けています。ただ、資産運用のフロンティアが金融資産以外にも広がっただけです。しかし、そんな「変節」とは果たして悪いことなのでしょうか?

私は「変節」こそ、人生にとって大切なスキルの一つではないかと思います。

個人でも企業でも、過去にこだわり「変節」を悪と思い込み、時代の変化に対応できず衰退していった例が多々あるからです。

(イーストマン・コダックと富士フイルム:編集部)

(イーストマン・コダックと富士フイルム:編集部)

わかりやすいのは、イーストマン・コダックと富士フイルムのケースです。どちらも20世紀の写真フィルムのトップメーカーでしたが、デジタルカメラが普及し始めると、その対応で明暗が分かれました。

写真フィルムに拘らず、多角化を進めて「変節」した富士フイルムは生き残り、「変節」を避けて過去に拘ったコダックは破たんしました。

確かに、サバイバルするためには、何でも変えれば良い訳ではありません。変えるべきことと、変えてはいけないことの見極めも必要です。しかし、変節を完全否定する思考法からは、衰退しか生まれません。

日本社会もここ最近で大きく「変節」しました。

残業が美徳だった時代から、働き方改革で今や残業は悪とまで思われているようです。
喫煙もかつてはオフィスや飲食店でも当たり前だったのが、今や禁煙がスタンダードになってきました。
結婚して郊外に庭付き一戸建てに家族で住むライフスタイルは無くなり、お一人様で都心のマンションに住む人の方が多くなっています。
会社も終身雇用が無くなり、転職が当たり前になりました。
そして、年金で安心できる世の中も、今や自分で2000万円必要と、政府が自己責任を求めるように「変節」しました。

これだけ環境が変化するのですから、「変節」をポジティブに捉え、変化する自分を楽しむ。そんなライフスタイルが、人生を豊かにしてくれると思います。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所、株式会社資産デザイン・ソリューションズは、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また、投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2019年6月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。