社内におけるコミュニケーションはとても大切です。ちょっとしたことが、仕事に影響を与えることもあります。コミュニケーションの機会はいろいろあります。
JTの調査によると、平成30年度の喫煙率は、男性:27.8%、女性:8.7%とあります。タバコ部屋ではどのような会話が行われているのでしょうか? 今回は、タバコミュニケーションの意外な効能について解説します。
もしも会社の情報を集めたいと思ったら、どのような手段を使おうと思いますか?一般的な情報、たとえば離職率や業界の評判は、上場企業であれば比較的容易に把握することが可能です。しかし中小企業などでは、そうした情報は非公開ですから知る由もありません。ネットで得られる情報にも、精度の問題があります。
会社は階層別のヒエラルキーによって構成されています。そのため、上位役職者でなければ収集しにくい情報があります。組織や人事情報、会社のネガティブ情報(赤字、リストラなど)などは一般社員では簡単に収集できません。
実は、情報収集のためにタバコ部屋へ行く人は少なくありません。憩いの場として集うタバコ部屋は情報の宝庫だからです。タバコ部屋は小さいスペースで奥へ奥へと追いやられています。ところがその結果、この部屋に集う住人の結束力が深まっているのです。
喫煙者は休憩も兼ねて行くので、仕事のことも仕事以外のことも気軽に会話できるメリットがあります。リラックスしている状態だからこそコミュニケーションもとりやすく、しかも5分程度の短い時間なので席を外しやすいのです。
社内の、お偉いさん(役員)が来るときもあります。印象に残っていると、社内プロジェクトの際に声がかかる場合があります。また、お偉いさんが社内の情報を欲しているケースも少なくありません。タバコ部屋であれば気軽に会話をすることができます。
とくに人事情報は信憑性のあるものから、リストラに関するものまで多種多様です。仕事や私生活で息詰まったとき、利害の対立を抜きに人々が寄り合い、雑談に花を咲かせる場があるのは精神衛生上も大切なことではないかと思います。
ただし今回は喫煙者のみの話。非喫煙者にとってはわからない話だと思いますが、タバコ部屋ではこのような情報交換がされていることを抑えてもらえればと思います。非喫煙者の方は、日常のコミュニケーションをより密度の濃いものにしてください。
よい情報も悪い情報も充分に踏まえたうえで、ご自身の判断で取捨選択することをおすすめします。くれぐれも表面上の情報に惑わされないことです。しかし、そのためには情報精度が重要であることもお忘れなく。
さて、6月6日に14冊目となる、『3行で人を動かす文章術』(WAVE出版)を上梓しました。タバコ部屋で親しくなった、お偉いさんにメールをしたり、手紙を書く際に役立つかもしれません。
尾藤克之(コラムニスト、明治大学サービス創新研究所研究員)