先週神奈川県で起きた実刑判決確定者の逃亡事件、6月19日に逃亡し23日に逮捕されるまで4日、近隣の住民の人たちは怖かったでしょうね。
逃亡犯は刑務所に入りたくないから逃げているわけで、やぶれかぶれ、何をやるかわからないわけですからね。
このニュースを見た多くの人たちは、なぜ実刑判決を受けた人が一般社会の中で普通に生活してたか疑問だと思います。
この男の場合は窃盗罪、傷害罪、覚せい剤取締法違反など四つの罪で、3年8ヶ月の実刑判決が確定していました。これだけ聞けば、私の感覚的にはかなり暴力的な男だなという印象ですが、2月に判決が確定をしてから4ヶ月以上の間、呼び出しをするも応じないので、身柄を確保しに行ったら逃げられてしまった事件です。
ここで逆のケース、思い出されるのは日産自動車の元会長カルロスゴーン氏についてです。逮捕されてから、108日間もの長期にわたって身柄を勾留されたこと。皆さん覚えていらっしゃいますよね。外国からは「かなり長いんじゃないか」「推定無罪なのにこれでは犯罪者扱いではないか」「釈放すべきだ」と様々な声が出ていました。
確かにこれまでの日本の取り調べでは、「罪を認めるまで自由にしないぞ」という事象が横行していたのも事実です。今回の場合は、すでに刑が一審で確定、つまり結審していました。一審ですでに保釈をされていましたので、二審では身柄を拘束せずに在宅で裁判が進み、最終的に二審でも刑が確定したわけです。近年では、今回のように逮捕・勾留された後に起訴され、保釈が認められるケースが増えています。
2008年は14. 4%が保釈されていたのに対し、2017年には31. 3%が保釈されており、10年間でほぼ倍に増加しています。
よく「人質司法」と言われましたが、先ほども述べたように、「罪を認めなければこのまま刑務所行きだぞ」と警察や検察から言われて自白を強要されるケースも確かにあったわけで、現在では証拠隠滅や逃亡の恐れがない場合には、保釈をするケースが増えてきたということです。
我々も勘違いしてはいけないわけですが、逮捕・勾留=犯罪者ではありません。犯罪者の可能性があるだけで、系が角栄するまでは推定無罪なんです。だから、刑事手続きを進めている中で、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるから逮捕・勾留しているわけですよ。まだ刑が決まっていない=犯罪者かもしれない人では自由を剥奪できないので、保釈に繋がるわけです。
理屈は理解できますが、いわゆる知能犯に対して殺人罪、傷害罪や性犯罪となると、保釈した場合の影響も大きいし、逃亡する可能性は大きいのではないかとも思えます。
今回初めて知りましたけれども、刑が確定しているのに収容されてない、いわば逃亡している人が昨年末で26人もいるんですね。
今回は捕まったからいいけど、あなたの周りにもいるのかもしれない。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2019年6月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。