G20とホテル
G20大阪サミットが閉幕した。東京のマスコミは「市民が生活に不便が出て不満たらたら…」などと書いているが、本気で市民が怒っていたようには見えない。大阪が前夜から3日のあいだ、世界の中心になったことは大阪人の自尊心をおおいに満足させた。
在阪マスコミの報道も好意的だったのは、地盤沈下気味の彼らにとって全国的、さらには世界的なニュース発信の主体になれたのだから企業としても悪いことなどない。
各国首脳の宿泊先ホテルは、トランプ大統領が帝国ホテル大阪、プーチン大統領がリーガロイヤル、習近平主席がウェスティン、マクロン大統領がリッツカールトン、メイ首相がニューオータニ、モディ首相が南海スイス、文在寅大統領がシェラトン、ムハンマド皇太子がコンラッド、エルドゥアン大統領がヒルトン、トルードー首相がマリオット、ボルソナロ(ブラジル)大統領やメルケル首相がセントレジデンス、コンデ(イタリア首相)がインターコンティ、安倍首相がハイエットリージェンシー…などに分散した。結果的に多くのホテルにとって滅多にないVIP宿泊の栄誉に浴することになったので良い経験になったはずだ。
記念撮影は、大阪城西の丸にある大阪迎賓館から天守閣をバックに撮った。偽リベラル系マスコミが韓国に不満を言わそうとしかけたようにも見えたが、「あれは秀吉のつくったものでなく徳川が再建したもの」などと、不見識なこともいわず突っぱねたのは痛快だった。
いまの天守は、石垣こそ徳川時代のものだが、天守のデザインは豊臣時代のものを再現し(本来なら黒色の壁にするべきだったが当時は時代考証が不十分だっただけ)、昭和天皇の即位御殿の御大典を記念して再建されたもので、韓国が嫌なら来なければいいだけだ。日本も元寇に参加した高麗時代の文化遺産は全否定しなくてはなるまい。
ついでにいっておくと景福宮が文禄の役の時に消失したのは事実だが、火を付けたのは日本軍でなく抑圧された民衆が日ごろの鬱憤を晴らしただけだ。
世界の国は200か国
今回のG20では、参加国のGDPが世界の8割というのが、だいぶ話題になったが、そもそも世界に国はいくつあるのか?あるいは、過去のそれぞれの時代にはどうだったのか。そうした話題を7月10日に発売の『消えた国家の謎』(イースト新書)で詳しく扱った。
第二次世界大戦が終わって国連が発足したときの現加盟国は51だった。ただし、アメリカ・イギリス・フランス・ソ連の思惑から本当の意味での独立国とはいえないいくつかの「国」が含まれていたし、逆に、枢軸側に立った日本やドイツなどは加盟を認められていなかった。
それも考慮して数え直すと、このころ世界の国は60国くらいだった。
そして、国連加盟国は1961年に100を超えて、令和元年(2019年)5月1日には193となった。しかし、国連加盟国以外にも国だと主張しているものもかなりある。
一方、日本が国交をもっている国は196か国である。
ただ、クイズで、世界に何カ国とあると聞かれても、はっきりとした正解というのはない。なぜなら、世界には、国家かどうかを客観的に決めるルールも機関もないからだ。それぞれの国が外交関係を持っているかとか、国際機関がメンバーとして認めているかとというだけなのだ。
しかし、あえて、本書では以下の200か国を令和元年における世界の国だとした。
①国際連合加盟国である193ケ国。
②国連のオブザーバーであるバチカン市国とパレスティナ。
③ニュージーランドに外交をゆだね、国連には加盟していないが、日本と外交関係がある南太平洋のクック諸島とニウエ。
④約20か国の承認を受け事実上、国家として機能している台湾(中華民国)。
⑤40以上の国連加盟国による承認を受けているが、地域の大部分を占領されているサハラ・アラブ民主共和国(西サハラ)。
⑥独立宣言をし、欧米をはじめ多くの国の承認を受けつつあるが、国連加盟などの見通しが立っていないコソボ。
以上の合計が200か国だ。
しかし、これ以外にも、国に準じた存在はかなりある。そのあたりの詳細は、『消えた国家の謎』に書いた。