買い物アプリの罠

田中 紀子

昨日、びっくりするような話を聞いたのですが、最近流行りの不用品を手軽に売買できるフリマアプリってありますよね。そのアプリの運営会社が、会員数を増やすためか?2か月間だけ、後払いができるキャンペーンをやったそうなんですね。(現在は、先にお金を振り込むか、クレジット登録をするかどちらかになっています。)

そしたら、その期間に16歳のゲームに依存気味のお子さんが、後払いで5万円の買い物をしてしまい、そのまま支払いをせず放置、結果、弁護士から請求が届いたというのです。

きなこもち/写真AC(編集部)

こういう時って、本人がなかなか本当のことを言ってくれないので、どうしてこういうことになったのか?詳細は分からないのですが、どこかに抜け道があったはずで、アプリの運営会社の本人確認の方法にも問題はなかったのか?と疑問です。

今の子供達って、親よりもずっとネットに長けているので様々な問題が起きています。
そもそも家族だと、クレジットカードや身分証明など簡単に手に入れてしまうことができてしまいますから、親の名前で登録してしまい、カードで買い物をしまくるとかですね。大体、アプリって本人確認をSNSやメルアドなどで簡単に行うだけですからね。

親が気がついた時には、何十万円も使われてしまった!などという問題も相談で受けますし、段々ひどくなると、カードを使わせないと暴れるようになったという相談もありました。

買い物アプリだけでなく、公営ギャンブルのアプリを使った投票でも高校生が、「親の口座を使ってしまって…」という相談がありましたね。この案件など、本人が使ってしまった金額が地方で家が買えるくらいになっており、払わないと暴れ、地方都市なので家族が世間体を恐れ、親類まで巻き込んで尻拭いを続けているという凄惨なものでした。

アプリ運営会社にしてみたら、登録は極力簡単にしてどんどん便利にし、サービスやポイント還元などで呼びこみ会員数を増やしたい事と思いますが、もう少し本人確認を強化しないと、今後もこういった問題は増え続けると思うんですよね。

そこで是非消費者庁さんに、

  • 本人が知らないうちに、家族にアプリ登録され使われてしまった。
  • 家族が勝手に親や配偶者のカードで買い物やギャンブルをしてしまった。
  • 未成年の子供達による親のカードの悪用について。

といった全国調査をして頂きたいです。

特に未成年の子供達には、現在「ゲーム依存」という、これまでにない依存症の低年齢化がすでに大問題となっている訳ですから、早急に対策が必要ではないでしょうか。

日本は家族によるクレジットカードの不正利用については、なんのお咎めもありませんから、使われた方は泣き寝入りしています。しかも段々ひどくなると、暴力的になり、やめさせることすら難しくなります。

全国で実態調査を行って頂ければ、現状が明らかにされると思うのでその上で、アプリの運営会社には本人確認及びセキュリティの強化を義務付けて欲しいと思います。

ちなみに消費者庁さんのホームページにこんな注意事項が掲載されました。

オンラインゲームを楽しむ際には、家庭内であらかじめルールを設定しましょう。~オンラインゲームのやりすぎには注意すべきことが潜んでいます。~

最近、ギャンブルやゲームの依存症対策で頑張ってくれている消費者庁さん。
是非、全国調査を実現して頂き、さらなるお力添えをお願いしたいところです。


田中 紀子
公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表
国立精神・神経医療センター 薬物依存研究部 研究生
競艇・カジノにはまったギャンブル依存症当事者であり、祖父、父、夫がギャンブル依存症という三代目ギャン妻(ギャンブラーの妻)です。 著書:「三代目ギャン妻の物語」(高文研)「ギャンブル依存症」(角川新書)「ギャンブル依存症問題を考える会」公式サイト