輸出規制、文大統領が撤回要求も「安定の被害者モード」の声

アゴラ編集部

韓国の文在寅大統領は8日、日本政府による韓国への半導体材料の輸出規制について初めて言及し、「韓国企業に被害が発生する場合、政府としても必要な対応をせざるを得ない」などと対抗措置をほのめかした。その一方で「そうなるのを望まない」とも述べ、日本が規制を撤回することを要求した。(聯合ニュース

日本の輸出規制に初めて言及した文大統領(8日、韓国大統領府Facebookより)

文大統領の発言が報じられた8日夕方以降、日本のネットでも即座に書き込みが続出。案の定、右派のネット民を中心に感情的なものが目立った。文大統領が日韓両国の「誠意ある協議」を求めたことについては

誠意とか笑わせるなよ

誠意をもってほしいのは韓国側なんですけどね。

どの口が誠意などとほざくのか

即座にツッコミが殺到した。今回の事態を引き起こしたのは、明らかに文政権の反日政策が元凶だ。しかし、この日も文大統領は「日本は経済力で韓国をはるかに上回る強大国」などと述べたことからスタンスは相変わらずで、ネット上では「安定の被害者モード」という感想もみられた。

ただ、一般のネットユーザーは、感情的な嫌韓から書き込みをしている人も少なくないが、冷静にポイントをわきまえて文大統領の発言の「ズレた」部分を指摘する人も。

規制ではないでしょ。 台湾、中国と同じ条件になっただけ

彼らがおそらく参考にしているのが輸出規制の内容についての各種解説記事で、アゴラでも経産省時代に半導体分野を担当した宇佐美典也氏、外務省OBの松川るい参議院議員の解説が掲載されている。

宇佐美氏(左)、松川氏

韓国への半導体材料輸出規制はどんな内容か?(宇佐美典也)
韓国に対する「特別扱い」の終了:「逆切れ」している場合ではない(松川るい)

松川氏も解説しているように、今回の輸出規制は決して禁輸措置ではなく、輸出手続きをスムーズにしている「ホワイト国」指定を解除したに過ぎない。従来は、日韓間の経済力の格差や日本側の贖罪意識もあって、韓国が多少つけあがってきたとしても日本が大人の対応をしてきたところだが、今後は韓国とは「大人の付き合い」(松川氏)をするという方針に転じたと言える。

一方、聯合ニュースによると、文大統領はこの日、短期的な対応とともに、「数十年間蓄積してきた韓国経済の構造的な問題を解決する契機にする」とも述べたという。文大統領は、国家的基幹産業である半導体材料を輸入に頼る構造からの脱却を視野に入れた発言とみられ、すでに日本国内でも、韓国が半導体の「国産化」に向けた動きを強めると予想する報道が出ている。

ただ、今後の韓国側の対応について、宇佐美氏は、日本が中国にレアメタル禁輸措置を受けた際のケースと比較。官民を挙げて備えていた日本が中国の制裁をしのいだのに対し、「韓国は明らかに準備不足」と指摘した。

さらに、レアメタルの準備に功績のあった官僚の具体名も挙げ、「問題が起きる10年くらい前から各素材のリスク評価と代替品の開発を進めてきたからすぐに対応できた。韓国が今から準備したところでそりゃ効果出るのは早いもので5年後、普通で10年後ってとこなんじゃないか」との見立てをしていた。