ハンセン病訴訟対処に見る安倍内閣の「超人的」強さ

首相談話の方はすこぶる好評だったようである。

殆どの国民は首相談話の方に注目して、片方の政府声明の方には目もくれないに等しい状況である。
ブロゴスのコメンテーターも私のブログのコメンテーターも今回の首相談話には好意的で、私の問題提起には何を言っているのか、くらいの勢いで噛みついて来られる方が多い。

ハンセン病訴訟への対応を話す安倍首相(官邸サイトより:編集部)

結論の妥当性という面から言えば、首相談話の方に軍配が上がることは間違いなさそうだ。

さすが自民党、と言うべきか。
論理的な整合性を追求する人たちから言わせると、およそ呑み込めないような理屈を簡単に呑み込んでしまって、しかも呑み込んだものを上手に消化してしまう。

清濁併せ呑む、というのとはちょっと違うが、異質のものであっても平気で呑み込んでしまって腹も下さない、というのだから、目下のところ自民党は超人的な強さである。

政府声明を基調として政府の対処方針を策定するとすれば、普通は、敗訴判決に対して控訴をし、その一方で、患者家族の皆さんに対して一審判決が命じる賠償金を速やかに支払うこととし、併せて、患者家族の皆さんに対して深甚な謝罪をしたうえで患者家族原告の皆さんに訴訟の取下げをお願いするところではなかったか、というのが私の考えである。

多分、今回の決定に至るまでには様々な検討がなされ、ギリギリまで結論が出なかったのではないかと推測している。

最終的には、法律的判断よりも政治的判断を優先した、ということだろう。

これが、今の自民党安倍内閣だ、ということである。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2019年7月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。